2010年7月18日(日)「しんぶん赤旗」
「政治とカネ」の疑惑解明
菅首相、後ろ向き
参院選後も「コメント控える」
参院選直前に鳩山由紀夫前首相と小沢一郎前幹事長の退陣で“みそぎ”を果たしたかのような印象を与えようとした民主党の「政治とカネ」の問題。しかし、あらためてこの問題での対応が問われています。
小沢氏の資金管理団体の土地購入をめぐる政治資金規正法違反事件(2007年分収支報告書の虚偽記載容疑)での東京地検の不起訴処分に対し、東京第1検察審査会は15日、「不起訴不当」を議決しました。起訴された同氏の元秘書らの供述を通じて、「秘書が独断で成し得るとは考えられない」と、“市民の目線”から同氏の再捜査を求めたのです。
「起訴相当」議決
同事件の04、05両年の収支報告書への虚偽記載については、東京第5検察審査会が4月に「起訴相当」を議決しています。
ゼネコンから小沢氏側への資金の流れと公共事業との関係も含め、同氏の疑惑をこれ以上放置することは許されない段階に入っています。ところが、当の小沢氏は、国会で一度も自身の疑惑について説明していません。
検察審査会の議決を受け、民主党内からも「国会の場でしっかりと説明することが大事だ」(前原誠司国交相)などの声も聞かれますが、同党として小沢氏の責任を追及する姿勢はまったくなく、証人喚問にも背を向けています。
その姿勢を象徴するのが、菅直人首相です。民主党代表選出馬会見(6月3日)以来、「普天間と『政治とカネ』の二つの“重荷”を、鳩山首相自ら辞めることで取り除いていただいた」などと、“みそぎ”論を展開。参院選最終盤では、「『政治とカネ』や(米軍)普天間(基地問題)のことで少し心配を掛けたが、それもクリアして、いよいよ本格的に時計の針を前に進めよう」(10日、福井県内での街頭演説)と、あたかも解決したかのような口ぶりです。
国会証人喚問を
今回の「不起訴不当」議決についても、「検察審査会の性格上、私の立場でコメントすることは控えたい」と述べるにとどまりました。
検察審査会は、有権者のなかから選ばれた委員で構成される機関です。国民から「不起訴不当」が突きつけられた以上、民主党代表でもある菅氏が、疑惑の解明に向けて前向きな立場を示すのが当然です。
「政治とカネ」も含め、参院選で国民から厳しい審判を受けた以上、民主党政権は“クリアした”などという以前に、小沢氏に国会での証人喚問で説明責任を果たさせるべきです。(林信誠)