2010年7月16日(金)「しんぶん赤旗」
軍関係者証人調べ必要
米軍属傷害致死事件 裁判長が意向
横浜地裁
米海軍横須賀基地所属の米軍属による暴行により死亡させられた中川勝美さんの妹の近藤好美さんが犯人の米軍属と日本政府を相手に損害賠償を求めている裁判の口頭弁論が15日、横浜地裁で開かれ、鶴岡稔彦裁判長は原告側が求めている米軍構成員らの証人調べは必要との考えを示しました。
原告側は、犯人のノーラン被告の監督者であるコリンズ在日米海軍司令部統合人事部長とベルト在日米海軍司令部法務部長を証人として調べるよう要求してきました。
国は、両氏の証人尋問の必要性は認められないと反論。コリンズ氏は退職後、日本国外に居住し、ベルト氏は米海軍の人事異動により日本国外に赴任したと明らかにしました。
鶴岡裁判長は、ノーラン被告への監督権限行使が不十分だった結果、本件事案が引き起こされたというような認定ができるのであれば、「在日米軍当局、被告国の責任が認められる余地もありうる」と指摘。「コリンズ証人、それに相当する人物に対し証人尋問を実施することは十分に考える余地がありうる」と、現段階の見解を述べました。コリンズ、ベルト両氏の出廷の調整が可能かどうか、など国に回答を求めました。
裁判後の報告集会で、原告弁護団は、国側は軍人と違う軍属には在日米海軍当局の監督義務違反は問えないと主張したが、原告側の主張に沿って「裁判所が、軍属に対する関係でも監督義務違反により国に対する請求が成り立つことを明確にした」と意義を強調しました。