2010年7月15日(木)「しんぶん赤旗」
治安 悪化とまらず
民間人 毎日14人死傷 NGO報告
武装勢力が活発化
アフガン
アフガニスタンでは今年前半の6カ月間、1日平均14人の民間人が武力紛争などで死傷しており、6月の治安事件の発生件数は2002年以来最多の約1200件にのぼる―。現地NGO「アフガニスタン人権モニター」(ARM)が12日に発表した報告書は、治安情勢の悪化に歯止めがかからない現状を伝えています。(安川崇)
「3万人の米軍増派でタリバンやアルカイダを『打ち負かす』というオバマ大統領の約束とは反対に、武装勢力の活動は活発で、重層的で深刻だ」
ARMは現在の治安情勢をこう説明しました。
報告書によると、アフガンでは今年1月〜6月、武力紛争などにより民間人1074人が死亡し、1500人以上が負傷しました。死者数は昨年同期の1059人から微増しました。
死者数の6割強にあたる661人は武装勢力の活動で死亡しており、うち282人が市場や道路わきに仕掛けられた手製爆弾によるものでした。また127人が自爆テロの犠牲になっています。
米軍や北大西洋条約機構(NATO)軍の活動による民間人死者は210人。空爆による死者は昨年同期の半分ほどに減ったといいます。
市民の乗用車などを米軍が攻撃するケースは、外国軍司令部がある首都カブールなど、都市部で多く発生しているといいます。こうした外国軍施設周辺で厳重な警備体制が敷かれていることが、さらに「武装勢力の自爆テロや爆弾攻撃を吸い寄せている」という見方も紹介しています。
アフガン軍やアフガン警察、政府側民兵組織に殺害された民間人は108人にのぼっています。ARMは、米軍などがアフガン治安組織の規模増強を急ぐあまり、隊員らの訓練の質を落としていると懸念。「多くの警官が、人権や、警察活動の基本についての正しい知識を持っていない」と指摘しています。
また報告書は、米国の旧ブラックウオーター社(現・Xe社)などの民間軍事会社の名前を挙げながら、「こうした会社の活動による民間人の犠牲を調査するのは非常に困難だ」とも述べています。
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