2010年7月15日(木)「しんぶん赤旗」
八ツ場ダム・負担金差し止め訴訟
原告の訴え退ける
判決後集会 原告ら批判
無駄な公共事業の典型として「西の川辺川ダム、東の八ツ場」といわれる、八ツ場ダム計画。民主党政権が昨年、中止を表明しながら、地域再建のプロセスがいっこうに示されないことをめぐって14日、判決後の集会では懸念する声が上がりました。
「今回の判決は、司法が八ツ場ダム建設に×をつけなかったということであり、○やゴーサインを出したわけではない」
こう判決を振り返ったのは、住民訴訟の原告で水源連共同代表の嶋津暉之さん(66)です。
5年半にわたる裁判で、同ダムは利水面でも治水面でも不要だという住民らの主張の数々。「評価の一つとしてありうる」とのべるだけで、「看過しえない瑕疵(かし)を認めることはできない」と訴えをしりぞけました。
判決後の集会には、原告や支援者ら約60人が集まりました。
小林哲彦弁護士は「原告側に『著しい不合理』を立証しなければいけないことになっている。今回の判決は、国と県の主張の上塗りだ」と批判します。
八ツ場ダムをストップさせる埼玉の会の藤永知子代表(57)は「どの程度を立証すれば、司法は認めてくれるのか」と、判決に憤ります。
また原告の男性は「民主党は昨年、中止表明をしたものの、最後には骨抜きにされるのではないか」と発言し、共感のため息があがりました。
原告らからは、国土交通省の有識者会議が13日に取りまとめた提言を批判する声が相次ぎました。
嶋津さんは「提言によると事業を検討する主体が、同ダムを進める国交省であり、参加するのが6都県の知事では『ダムつくれ』の合唱の場となり、建設にお墨付きを与えかねない」と指摘しました。