2010年7月10日(土)「しんぶん赤旗」
民主、選挙中に路線転換?
菅首相「消費税に手付けぬ」
菅直人首相(民主党代表)は9日、青森県八戸市内で街頭演説し、消費税問題について「次の総選挙までの間、議論はするが、(消費税率を)上げるなんていうことはまったく考えていない」などと消費税増税の打ち消しに躍起になりました。
菅首相は「(総選挙で国民の)意見を必ず聞いてからでなければ、消費税は一切手をつけない」とまで発言。参院選最終盤で消費税増税「反対」が「賛成」を上回る国民世論の激変が起こるなか、消費税増税を正当化してきた菅首相が窮地に追い込まれ、言い逃れを始めた形です。
民主党は「参院選マニフェストQ&A」で、来年3月までに消費税の増税方針をとりまとめ、速やかに増税法案の提出、成立を図ると明記。今回の菅首相の発言はこの方針と矛盾します。
菅首相は演説で「私が消費税について少し話をしたものだから、いろいろとみなさんにご心配をかけてしまった」と選挙戦に影響を与えていることを認め、「もともとそういうふうに(消費税は一切手をつけないと)いっていたが、私の声が小さすぎて、なかなか届かなかった」などと、自身の“声の大きさ”の問題にすり替え。法人税減税の穴埋めに使うことも覆い隠したまま、消費税増税の狙いをごまかしました。
ビラ“生活第一”復活
民主党が、参院選最終盤に配布している法定3号ビラで「原点は、『国民の生活が第一』。」の大見出しを掲げ、菅直人首相(党代表)の写真入りで「もう一度、チャンスをください」などと訴えています。
「国民の生活が第一」は、小沢一郎、鳩山由紀夫両代表時の選挙戦での“売り文句”でしたが、消費税増税、法人税減税を公約した菅政権の発足で投げ捨てられました。参院選マニフェスト(政権公約)には「ムダづかい 行政刷新」の項目の中に小さく載っているだけです。
3号ビラで宣伝しているのは、子ども手当、高校無償化、農業戸別所得補償など昨年の総選挙マニフェストの“実績”。参院選マニフェストで明記する「消費税を含む税制の抜本改革」「法人税率引き下げ」の言葉はまったくありません。
大企業減税の穴埋めの消費税増税を狙いながら、「国民の生活が第一」をいうなどふざけた話です。