2010年7月9日(金)「しんぶん赤旗」
地方紙 社説から異論
比例削減
少数意見を封殺/政党助成金削減を
民主党が参院選後の臨時国会で衆院比例定数80削減の法案を提出・成立させる構えをみせていることに、地方紙が「社説」で批判や疑問の声をあげています。
「比例定数削減 少数意見を封殺せぬか」の見出しを掲げたのは北海道新聞3日付。「消費税増税に向け『議員自らが血を流す』というが、乱暴すぎる。筋違いではあるまいか」「国会で民意を代表する議員の数や選挙制度のあり方は、各党の消長にも直結する。民主主義の土台にかかわる重大なテーマだ」と指摘します。
日本が小選挙区制導入の「手本」とした英国で比例代表併用を検討する動きが出ていることや、日本の国会議員数が人口比でみると国際的に多い方ではないことをあげ、「定数を削減することが直ちに国民の期待に応える道だとは言い切れまい」としています。
京都新聞4日付も、菅直人首相が「より厳しいことを(国民に)お願いするときには定数削減をしっかり実現したい」(1日)とのべたことに対し、「身を削る姿勢を示すことで消費増税への批判をかわす狙いのようだが、それではあまりにも荒っぽい」と批判。「議員数や選挙制度のあり方は議会制民主主義の根幹をなす。国民の声を幅広く反映する国会をどう実現するか。その視点を忘れないでもらいたい」とし、「急ぐべきは『1票の格差』の是正」だと提起しています。
信濃毎日新聞6月28日付は「定数削減に走るのは短絡的に過ぎる。衆院に小選挙区制が導入されてから、得票率の小さな差が獲得議席の大きな差となって現れるようになった。定数を減らせば、中小の政党が国会に議員を送り込むのはさらに難しくなる」と警鐘を鳴らしています。
河北新報3日付は「定数削減も結構だけれど」としつつ、「比較的実施しやすい比例代表に限ることは、比例に込められた多様な民意を吸い上げる機能を弱める懸念がある」としています。
東京新聞8日付は、「八〇削減しても六十億円弱程度の予算削減にとどまる」とのべ、「共産党以外の政党が三百二十億円を『山分け』しており、国会議員が身を削るなら、この方がより実質的な意味がある」と指摘。
さらに、「懸念するのは、民主党が衆院の定数を比例代表から削減しようとしていることだ」と強調。「比例定数が減れば、少数政党は議席を得にくくなる」「少数意見の切り捨てにつながるのなら見過ごせない」とのべています。