2010年7月9日(金)「しんぶん赤旗」
ソマリア難民流出 治安の悪化で減少
今年前半
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国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)はこのほど、暫定政府軍とイスラム強硬派反政府勢力の戦闘が激化するソマリアからの難民流出の状況を発表しました。今年前半、難民の数は減少したものの、その主因は同国の治安と人道的な状況が極端に悪化し、人々が国外に出ることができなくなったためだと指摘しました。
ソマリアからケニアに逃れた難民は今年前半の6カ月で約3万人。2009年同期の4万4000人から3分の1近く減少しました。アデン湾を介したイエメンへの難民も昨年同期の1万3800人から6700人に減少しました。
UNHCR報道官はジュネーブでの記者会見で「減少は、安全でなく不安定さを増している状況のせいだ」と指摘。UNHCRは今年だけで20万人のソマリア人が住居からの退避を迫られ、その多くが国境内にとどまっているとみています。
イエメンに到着した難民からの聞き取りによると、首都モガディシオと密航業者の船が出入港するアデン湾岸のボッサソの間には、武装組織が十数カ所の関門を設置。国外脱出を阻んでいます。
またケニアに逃れた難民によると、逃亡に失敗すると強制的に戦闘に駆り出されるという恐怖からソマリアを出国できない人たちもいるといいます。