2010年7月7日(水)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流

　「誕生日に届くはずの祝いのケーキが来ない」。「１日遅れで着いたサクランボが傷んでいた」…▼７月に入ったとたんに起こった、「ゆうパック」の集配遅れ。日本郵便の説明によれば、準備不足のまま「ペリカン便」と業務をひとまとめにしたせいらしい。宅配便の便利さに慣れきった利用者には、信じられない混乱ぶりです▼混乱といえば、相撲界の乱れはいつ収まるのでしょう。野球とばくにかかわっていた力士や親方を処分し、名古屋場所の開催にこぎつけたものの、ＮＨＫは「国技」の生中継をやめます。５７年にわたるテレビ放送の歴史で、前代未聞のできごとです▼「混乱ではなく安定を」。こちらは、菅首相の演説です。参院で野党が多数を占めれば政治が混乱する、というわけです。しかし、国の混乱を招くのは菅首相の方でしょう。消費税を大増税すれば、暮らしの安定が損なわれます。景気が落ち込み失業・倒産がふえ、かえって財政も悪くしかねません▼民主党が唱える国会議員の定数減らしは、権力「安定」をめざす公約なのでしょう。なにしろ、民意を映す比例代表の議員をばっさり減らし、国会から、消費税の増税に反対し憲法９条を生かそうとする勢力を締め出すのですから▼昨年のいまごろは「政権交代を」と叫び、１カ月前には幕末の風雲児・高杉晋作にあやかり「奇兵隊内閣」を名乗った、菅首相と民主党。しかしいま目立つのは、よりよい暮らしと政治を願う人々に背を向けた、政権にしがみつく姿です。

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