2010年7月6日(火)「しんぶん赤旗」
地方選 与党が敗北
政権の経済政策に批判
メキシコ
【メキシコ市=菅原啓】メキシコで4日、全国32州のうち14州で地方選挙が実施されました。連邦政府のカルデロン政権の治安対策、経済政策に国民の批判が高まる中、2000年まで政権を握り続け、地方政治で大きな影響力を保っている前政権党、制度的革命党(PRI)が前進の傾向を示す結果となりました。
メキシコでは近年、麻薬組織の抗争が激化。カルデロン政権は、軍隊を導入して麻薬組織を取り締まる強硬策をとってきましたが、みるべき成果が上がっていません。その一方、軍隊の急襲作戦によって無関係の市民が殺害される事件が後を絶たず、国民の中からは政府の治安対策の見直しを求める声が高まっていました。
カルデロン政権は経済政策でも、財政難を理由にガソリン価格を連続的に値上げし、公約であった雇用対策でも目標を達成できず、国民の間に不満が広がっていました。
各州選管の途中集計などによると、制度的革命党の候補は、知事選が実施された12州のうち、10州でほぼ当選を確実にしています。
制度的革命党は野党でありながら、財政再建のための付加価値税引き上げ案では、与党との協議に応じる立場をとっており、経済政策、治安対策ともカルデロン政権と大きな違いはありません。しかし、選挙結果は、国民の不満を野党第1党の制度的革命党が吸収した形となりました。
政府の新自由主義政策を批判し、付加価値税引き上げ反対を主張している中道左派の民主革命党(PRD)は、独自候補を立てた州知事選で全敗。6年前の選挙で初めて州政権を獲得したサカテカス州でも、同党推薦候補が落選、PRIの政権復帰を許しました。左派勢力の中からは、新自由主義など中央政権の政策を批判しながら、地方で右派与党と連合するPRDの姿勢に批判が高まった結果との見方も出ています。