2010年7月6日(火)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 世界を見回すと、自分の国のダメさかげんがよく見えることがあります。各国研究者の労働環境に関する満足度を初めて調査した結果で、日本は最低でした▼英科学誌『ネイチャー』に先月、公表されました。「給与」「年金」など8項目について満足か不満かを聞き、満足なら1点、不満なら0点と点数化。回答者約1万人。アメリカや欧州、中国、韓国など16カ国で比較したのです▼日本は全項目合わせた点数で最下位。とくに「休日」「労働時間」「独立性」「上司や同僚からの指導」は最低でした。休日は少なくクタクタ、研究の自由は限られ、上司や同僚の指導にも強い不満―そんな日本の研究者像が浮かんできます▼ゆえなしとはいえません。近年、大学などで教育・研究の財政は枯渇し、教員は資金集めで忙しく、研究時間は減っています。そのため短期に成果が生み出せる研究が多くなったとの認識が強まっていると『科学技術白書』にあります。若手研究者は定職につけず、「使い捨て」といわれる状況さえ生まれています▼これは社会にとって大きな損失です。日本共産党の大学や大学院生向け政策号外は、教育・研究の発展、研究者を志す若者を応援する政治へかじを切るときといいます。必要な財源は大企業優遇の研究開発減税を元に戻すなどで生み出せると▼ちなみに先の満足度1位はデンマークでした。同国では一般の人々の幸福度も高いと記事にあります。満足度の高低は研究者だけの問題にとどまらないようです。





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