2010年7月5日(月)「しんぶん赤旗」
大企業トップ役員への減税
1人あたり1900万円
報酬上位200人平均
政府は高額所得者を優遇するため、所得税と住民税の最高税率を1999年に引き下げました。この措置によって大企業のトップ役員200人が受けた減税額が、昨年度だけで合計38億3272万円、1人当たり約1916万円にのぼることが分かりました。菅直人首相は「財政再建」のために消費税率10%を口にしますが、この不公平税制こそ正すべきです。
6月末締め切りで金融庁に提出された3月期決算企業の有価証券報告書で、昨年度1億円以上の報酬を受け取っていた役員が200人以上にのぼりました。報酬額が判明した役員のうち上位200人について、本紙が試算しました。
大量の派遣労働者切りで社会問題を引き起こした自動車メーカーは、日産、トヨタ、ホンダ3社の役員10人で合計2億5507万円の減税。日本最高の役員報酬、8億9100万円を受け取っていたカルロス・ゴーン日産自動車社長の減税額は1億2291万円となります。
大企業優遇税制のため、実際に払った法人課税負担率(2003年〜09年の法人3税納税額と税引き前当期純利益の比率)がわずか12・9%だったソニーのハワード・ストリンガー会長兼社長の減税額は1億1357万円でした。ソニー1社だけで6人計1億9888万円の減税となります。
10年以上法人税を払っていないメガバンクでは、みずほ、三菱UFJ両行の役員9人で1億864万円の減税。過去注入された公的資金を返し終わっていない新生銀行も4役員で計5329万円の減税です。
北島義俊・大日本印刷社長は1億809万円、金川千尋・信越化学会長は7218万円でした。
所得税・住民税の最高税率は98年にはそれぞれ50%、15%でしたが、翌年引き下げられ、今では所得税40%、住民税10%です。今年から1億円以上の役員報酬の公開が義務づけられたため、これまでに判明した分から、98年時点の税率と現行税率で課税推計額の差額を計算しました。
応分の負担を
日本共産党は所得税・住民税の最高税率を元に戻し、給与所得控除に頭打ちを設けるなど、高額所得者に応分の負担を求めるべきだと主張しています。
〈表の推計方法〉
(1)2009年度決算で明らかにされた報酬額(ストックオプションなどを含む。退職金は除く)を給与収入として税額を計算。他の企業役員との兼務による副収入がありうるが、考慮に入れず
(2)扶養親族はゼロとして計算。社会保険料控除は一律114万円(財務省のモデル試算の係数)
(3)以上を考慮した上で1998年当時の税制と現行税制による税額の差を算出。最高税率は98年当時所得税50%、住民税15%、現行は所得税40%、住民税10%
(4)外国人役員は日本に居住して課税されていると仮定
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