2010年7月3日(土)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
先月末、アメリカの上院が、沖縄に感謝する決議を採択しました。全会一致です▼「沖縄の人々が米軍を受け入れてくれて」感謝、感謝、サンキューというわけです。米下院も、先に同様の決議をあげています。菅首相も6月23日、沖縄の全戦没者追悼式で「お礼」を口にしました。日米そろって、沖縄への“感謝ぜめ”です▼しかし、沖縄の人々の気持ちはこうでしょう。米軍を受け入れたつもりなどない。勝手に土地を奪って基地をつくったのだ―。そして、いままた、日米の政府が沖縄の頭越しに勝手な「合意」を結び、基地の県内たらい回しを押しつける―▼かつて、故・瀬長亀次郎さんはいいました。「われわれはなにもアメリカはインドに帰れとはいっていない。…アメリカはアメリカへ帰れ、民族が独立してはじめて対等平等の付き合いができる」。1971年、当時の佐藤首相に国会で質問した時の告発です▼「沖縄の大地はわれわれ同胞の血を吸い、骨は地と化した」。沖縄戦以来の人々の苦難を、米軍の弾圧に屈せずたたかった自身の体験を交えて語り、「再び沖縄を戦場の地とするな」と迫る瀬長さん。議場を圧しました。元本紙編集局長の関口孝夫さんは、佐藤首相の答弁のようすを記録しています。「声がつまった。その目には、まちがいなく涙があった」(『ザ・取材』)▼沖縄の人々の、ゆるぎない平和の心。瀬長さんたち先人の不屈の魂。いま、参院選の県民共同候補、イジュ唯行さんが身をもって受け継いでいます。