2010年7月2日(金)「しんぶん赤旗」

株で大もうけ

配当だけで1人1億円減税

この不公平なぜ正さぬ

譲渡益優遇 6人に116億円も


 株取引で大もうけをあげる一部高額所得者を巨額減税で優遇する証券優遇税制の実態が明らかになりました。配当にかかわる優遇税制では、1億円を超える巨額の減税を受ける大企業の名誉会長がいることが判明。株式等譲渡益(売買益)にかかわる優遇では、たった6人の高額所得者(合計所得が100億円超)に116億円もの減税がもたらされています。日本共産党の佐々木憲昭衆院議員の調べで分かりました。民主党政権は、こうした大資産家減税など不公平税制に手をつけず、消費税増税を狙っています。


 株の売買益や配当などにかかる税金の税率は現在10%。これは庶民の預貯金の利子にかかる税率20%の2分の1です。2010年度税制「改正」でも、民主党政権はこうした大資産家優遇税制の是正にまったく手を付けませんでした。

 試算によると、配当に対する優遇税制では、トヨタ自動車の豊田章一郎名誉会長が減税だけで1億1176万円となっているほか、イトーヨーカ堂の伊藤雅俊名誉会長が1億825万円、京セラの稲盛和夫名誉会長が8167万円など、それぞれ巨額の減税を受けていることが分かりました。

 株式等の売買益に対する減税では、1人当たりの減税額は19億3398万円に達します。

 株の売買益にかかわる優遇税制は総額で約1212億円。合計所得100億円超の6人(0・007%)だけで全体の約10%の減税額を占めています。

 株式配当に対する減税額の試算は、各社の09年中の有価証券報告書から大株主の保有株式と1株当たりの配当額を抽出し、それをもとに減税額を試算しました。

 株式等譲渡所得に関する試算は、08年分申告所得税標本調査(国税庁)をもとに、これに記載された株式等譲渡所得のすべてに軽減税率が適用されると仮定し、算出しました。

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(写真)写真は東京証券取引所のマーケットセンター

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共産党 廃止を提案

 日本共産党は、証券優遇税制をただちに廃止し、株の譲渡益(売買益)や配当にかかる税率を本来の20%に引き上げることを提案しています。

 株で得た所得についても、将来的にはほかの所得と合わせて税が課せられる総合課税とすべきです。それが実現されるまでの間も、欧米諸国の水準に合わせて30%以上に税率を引き上げることを目指しています。その際、庶民の少額投資には大資産家とは区別して税負担の軽減を図ります。


 証券優遇税制 上場株式の譲渡益・配当に対する税金の税率を10%(所得税7%、住民税3%)に優遇する税制。譲渡益については、2002年まで本則26%だった税率を、自公政権が03年から20%(国15%、地方5%)に優遇した上、03年から07年までこれを半減(10%)。07、09年度税制「改正」で優遇の期限を延長し、現在、11年末が期限です。配当も同様に、20%の税率が10%に優遇されており、期限は11年末までとなっています。





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