2010年7月2日(金)「しんぶん赤旗」
消費税「還付」発言
首相の 迷走 止まらない
まるでバナナのたたき売り
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菅直人首相は、“消費税10%”への批判を意識して、6月30日の遊説で突然、低所得者への「全額還付」を言い出すなど迷走を深めています。民主党内からも「言い訳、思いつきと受け止められても仕方ない」(同党関係者)との声も出ています。
菅首相は、「カルロス・ゴーン(日産社長)さんのようにたくさん給料をもらっている人からは、ガバっととっていいけれども、普通に生活している人には過大にかからないようにする」(山形市内)などと、低所得者には「全額還付」をおこない、増税の影響が及ばないようにするとの言い訳を始めました。
ところが、「全額還付」の対象となる1家族あたりの年収については、「200万(円)から300万とか少ない人」(青森市内)、「300万、350万以下」(秋田市内)、「300万、400万以下」と、場所ごとに順を追って条件を緩和。まるで「バナナのたたき売り」のような迷走ぶりでした。
これまでも菅首相は、「10%」への増税についても、当初は「公約と受け止めていただいて結構だ」(6月21日)と表明したにもかかわらず、消費税増税路線に対する世論の批判や内閣支持率の急落を受け、「(各党に)議論を呼びかけるところまでが私の提案だ」(同26日)などと見解を一変させています。
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年収に応じた「還付」を菅首相がいいだしたこと自体、消費税が低所得者ほど重くのしかかり、生活を破壊するものであることを自ら認めたことにほかなりません。
しかも、菅首相の発言は、政府や党内でまともに議論された形跡すらありません。「もともと参院選で消費税増税を打ち出すこと自体、寝耳に水」(衆院議員)、「低額所得者への還付みたいな話が出てきても、きちんと議論された話ではなく、言い訳、思いつきと受け止められても仕方ない」(同党関係者)との声が聞かれます。
実際「還付」といいますが、税制のあり方の根本から変更しなければできないという指摘もあり、首相からは実際にどうやるかは示されてもいません。
菅首相が示した年収「400万円以下」の家庭は、全世帯の46・5%を占めます(2009年国民生活基礎調査)。日本中の半分を占める世帯に「還付」しなければならないような増税なら、最初から増税しないに越したことはありません。