2010年7月1日(木)「しんぶん赤旗」

主張

消費税率10%

経済への打撃は計り知れない


 民主党が「法人税率引き下げ」「消費税率10%」の公約を国民の目から隠そうとしています。

 民主党は菅直人首相の第一声でも法定ビラでも法人税減税には触れていません。首相は26日、「(消費税増税の)議論を呼びかけるところまでが私の提案だ」と語り、「消費税率10%を参考に」という公約をもみ消そうとしました。

露骨な財界奉仕に怒り

 「消費税率10%」への大増税と、その増税が大企業減税の穴埋めに費やされるという露骨な財界奉仕に国民の怒りが広がっています。これほど重大な争点をごまかして逃げるのは、国民に対して不誠実極まりない姿勢です。

 「消費税率10%」への増税は総額12兆円、4人家族で年間16万円もの負担増になります。

 1997年の国民負担増は消費税増税で5兆円、医療費値上げなどと合わせて9兆円でした。当時は家計の所得が増えている局面での負担増でしたが、それでも景気はどん底に突き落とされ、大不況を招きました。今度は家計の所得が減り続けている局面での12兆円もの負担増です。暮らしと経済への打撃は計り知れません。

 不況で所得税と法人税が大幅に減って、96年度に52兆円あった国の税収は99年度には47兆円にまで落ち込みました。その後の税収は、今日に至るまで一度も96年度の税収を超えていません。97年負担増の経験は、家計を痛めつけて景気を悪化させれば、かえって全体の税収が減って財政赤字を拡大させることを示しています。

 菅政権が閣議決定した「新成長戦略」は、地方税を含む法人税率を「主要国並みに…段階的に引き下げる」と明記しています。その意味について、とりまとめ責任者の一人の直嶋正行経産相は、来年度は「5%」、さらに段階的に「10%〜15%」まで引き下げるということだと“解説”しています。

 大企業への「先行減税」です。景気の急降下前の税収で計算すると減税規模は9兆円に上り、消費税率を10%に引き上げても財源のほとんどは大企業減税に回ってしまうことになります。27日のNHK討論で日本共産党の小池あきら政策委員長が「この事実をどう見るのか」とただしたのに対し、民主党の玄葉光一郎政調会長はまったく答えられませんでした。

 大企業は229兆円もの過剰な貯蓄をため込み、空前のカネ余り状態です。そこに減税しても大企業の「埋蔵金」を増やすだけです。日本の大企業の実際の法人税負担率は平均30%程度で、ソニーやパナソニックはわずか10%台です。何より、税率を下げたからといって「iPad」のような製品をつくれるわけではありません。

重要な参院選での審判

 民主党の「参院選マニフェストQ&A」は、次のようにはっきり書いています。消費税増税の法案を「2010年度内にとりまとめる」「速やかに法案を提出し、成立を期したい」―。消費税増税は数年後かもしれませんが、増税の法律は来年の通常国会にも一気に通させてしまおうという計画です。

 今度の参院選は、消費税率10%、大企業減税の穴埋めのための庶民大増税を許すかどうか、極めて重要な審判を下す選挙です。日本共産党を躍進させて、道理のかけらもない増税にストップをかけようではありませんか。





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