2010年7月1日(木)「しんぶん赤旗」

防衛省「事業仕分け」

ヘリ・ミサイル対象にしたが

兵器 一つも削らず


 民主党がムダ削減と宣伝する事業仕分け「行政事業レビュー」が、防衛省でこのほど行われました(9日〜11日)。“聖域扱い”との世論の批判を受けて兵器も対象にしたものの、ただの一つも削減しないまま終わりました。

 対象となったのは、1両2億5000万円の偵察用87式装甲車(120両購入計画)、海外派兵に配備される1機約50億円以上のヘリコプター(現有数54機)、7000億円以上がつぎこまれたミサイル防衛のパトリオットミサイルなど、米軍の戦争に加担する危険な上、軍需企業を肥え太らせるだけのムダ遣いの典型です。

 仕分け人から、87式装甲車について「走っているときに弾を撃てないと聞く。使えないものにコストをかけてもしょうがない」との意見がでましたが、防衛省は「これから研究をスタートします」とその場逃れの回答。

 ヘリコプターは、各自衛隊間で14億円も価格が異なる実態が判明。ライセンス料を払って国内企業が製造する方式について防衛省は「経費面を総合的に判断している」としながら、「試算はしていない」と無責任な説明を繰り返しました。

 入札は名ばかりで随意契約となっている上、その受注企業に防衛省や自衛隊OBが多く天下っていることが指摘され、「うさんくさいと思われる。情報公開すべき」だとの意見がだされました。

 しかし、防衛省は、「企業が契約してくれないと困る」といって拒否。結局、ただの1両、1機も削らずに、せいぜい「まとめ買いしてはどうか」など、調達方法の改善などを求めるだけでした。もともとムダを削る気などなかったと言われても仕方ありません。

 事業仕分けは、軍事費や大企業向け予算など本当のムダにはメスを入れない一方、国民の暮らしを切り捨てるものでした。それでも大した財源はつくれなかったのが実際です。民主党は、この仕分けでムダを削るからといって消費税増税を押しつけようとしていますが、これではその口実にもなりません。





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