2010年6月30日(水)「しんぶん赤旗」
国民総番号制へ3案
社会保障と税を一元管理
政府は29日、「社会保障と税共通の番号制度に関する検討会」を開き、すべての国民に番号を付けて所得や社会保障給付などを一元的に管理する国民総番号制度について素案を公表しました。
番号制度で対象とする個人情報は(1)税務のみとする案(2)税務と社会保障に使用する案(3)さらに幅広い行政サービスにも使う―の3案を示しました。
税務と社会保障に活用する案の場合、導入コストは最大6100億円程度と試算。導入までに3〜4年程度かかるとしています。
番号の選択肢として住基ネットを活用して新たな番号を付けるなど3案をあげ、世紀のムダ遣いと指摘される住基ネットの押し付けもねらっています。
解説
国民の権利を対価へと変質
社会保障と税の共通番号制度は国民ではなく、財界が求めてきたものです。一人ひとりの国民が納めた税金・社会保険料と受けたサービス給付を比較。社会保障を権利ではなく納めた税・保険料に基づく対価に変質させ、国や企業の責任と負担を後退させるのがねらいです。社会保障を民間の保険商品と同様に扱い、もっぱら税や保険料の取り立てを強化し、給付やサービスを削減するために番号制度を導入するなど大問題を含んでいます。
社会保障番号を導入しているアメリカでは、番号の盗難など年間20万人が「なりすまし被害」にあっており、国民の個人情報・プライバシーの保護からも慎重な検討が必要です。(深山直人)