2010年6月29日(火)「しんぶん赤旗」
NHK番組参院選特集
小池政策委員長の発言
(詳報)
日本共産党の小池あきら政策委員長が、27日放送のNHK「参院選特集」で各党政策責任者と行った討論での発言は次のとおりです。
番組ではまず、経済・財政問題が議論となり、民主党の玄葉光一郎政調会長が「まずは強い経済、それを強い財政に結び付けていく」とのべ、財政再建を基軸にすえる考えを表明。自民党の石破茂政調会長も、「基本的認識はそんなに変わらない」と応じました。小池氏は、次のように述べました。
成長戦略言いながら消費増税 経済も財政も壊し国民に犠牲
小池 日本はなんで成長しなくなったのかということを考えるべきです。主要先進国のなかで唯一成長が止まりました。その原因は、雇用者報酬、つまり国民の収入が減ったわけです。この10年間でこんなことになった国は世界で日本しかありません。一方で大企業の利益や内部留保は増えているわけです。
そういうときに財政再建だといって消費税の増税をやれば、普通の4人家族で16万円も負担が増えます。私は、暮らしを壊して内需を冷え込ませるようなことをやれば、ますます財政にも経済にもマイナスになっていくと思いますよ。
ですから、いま菅政権が打ち出している成長戦略と財政再建というのは、私は相矛盾すると(思います)。成長戦略などといいながら、消費税の増税などというまったく逆行するやり方をやれば、経済も財政も結局壊れてしまい、一番犠牲を受けるのは国民の暮らしだと思います。
一方、他の野党からも、「もう正直ベースで(消費税増税について)話すべきときがきた」(たちあがれ日本の与謝野馨共同代表)、「成長戦略としては、あくまでも法人税の減税」(新党改革の小池正勝政調会長)と民主党を後押しする発言が相次ぎました。
小池氏は次のように主張しました。
民主の公約の法人税引き下げ 消費増税分が減税財源に
小池 さきほど正直に議論しようといわれたので、私も聞きたいんです。消費税というのは、これは弱い者にほど重くのしかかる逆進的な税金ですから、増税は反対ですが、民主党はマニフェストで法人税率の引き下げということをはっきりいっているんです。
経済産業省は、「経済構造ビジョン」で、法人税を25%に、4割も下げるといっているわけです。これは、経済が回復すれば、9兆円も税収に穴が開くことになるわけで、消費税に当てはめると4%分です。こんなことをしていたら、結局は消費税の増税分のほとんどが法人税の減税分の財源に回ってしまいます。いま、玄葉さんは“社会保障のためだ”と、あるいは「財政再建」という話も出てきましたが、この議論の前提が崩れると思うんです。
私たちは、この大企業減税の財源づくりのための消費税増税には絶対反対ですが、このことをはっきりさせないで議論をあいまいにして進めることは、私はフェアではないと思います。その点どう考えるのか、はっきりいっていただきたい。
これに対し玄葉氏は、「法人税はわれわれは下げたいと思っている」「日本は(法人税が)圧倒的に高い」とのべつつ、「別に法人税の減税をするために消費税の問題を議題にするということでは決してない」と弁明。現在の法人税収は6兆しかなく、「9兆の減収ということはありえない」と述べました。小池氏は次のように反論しました。
法人減税の財源に回ったのが消費税22年の歴史の事実
小池 さきほどから日本の法人税率は高いというのが前提のように議論されていますが、たしかに表面税率だけみると40%です。でも、大企業にはいろんな減税措置がありますし、実際の税率は30%程度だと、経団連の役員だって雑誌でいっているんです。とくに輸出大企業など20%台、なかには10%台の企業もあるわけです。そういったことを無視して一律に「高い、高い」というべきではない。
玄葉さん、私はさっき注意深く言ったと思うんですが、“経済が回復した段階”で(法人税を)15%も下げれば、9兆円も税収が減るといったんです。民主党はこのままの(冷え込んだ)経済の水準でいくというんですか。そんなことはないでしょう。
こんなことをやったら、たとえデフレを脱却して経済が回復しても、税収が入ってこない構造ができてしまう。それに対してどう対処するのかと聞いたんです。
玄葉さんは法人税を下げるために消費税を上げるわけじゃないといいますが、結果として法人税減税を先行させれば、その分の財源に回ってしまうことになる。消費税の歴史はまさにそうでした。22年間の消費税の総累計が、だいたい法人税の減税分と一緒です。そういう事実をどう見るのかということです。
玄葉氏は、デフレ脱却や名目成長率3%を達成しても「どうしても税の抜本改革は必要だ」と繰り返すだけで、消費税増税分が法人税減税の穴埋めに使われるとの小池氏の指摘には一切答えられませんでした。
外交・安全保障問題に議論が移り、司会の島田敏男NHK解説委員が沖縄・米軍普天間基地の名護市辺野古への「移設」=新基地建設は、自民党政権当時の日米間合意と「限りなく近づいた」と指摘。自民党の石破氏は「沖縄にいって、踏まれても、けられてもお願いしますといわないといけない」と、新基地建設をゴリ押しするよう主張。民主党の玄葉氏も、「そのぐらいの気持ちが確かに必要だ」と応じました。
小池氏は、菅直人首相が、「沖縄慰霊の日」への沖縄県訪問を、日米合意実施のための「交渉のスタート」だと述べたことについて、次のように批判しました。
不戦誓う日に基地押し付け 沖縄県民の思いを踏みにじる
小池 「慰霊の日」に(交渉を)スタートさせたというんですが、このことがきわめて無神経だと思います。沖縄のみなさんにとっては、二度と戦争を繰り返さないという不戦の誓いの日です。その日を、辺野古への基地押し付けの話し合いのスタートにするということほど、無神経なことはありません。
しかも菅首相は、「沖縄慰霊の日」の式典で、米軍基地の沖縄県民の負担への「感謝」ということをいいました。これには沖縄で、「基地を固定化するつもりか」という怒りの声がいま上がっているんですよ。(仲井真弘多)沖縄県知事も、県議会で「県内の移設は不可能に近い」といっています。私は、日米合意を最優先にして沖縄県民の思いを踏みにじるこんなやり方は、絶対に破たんすると思っていますし、沖縄はもちろん、日本のどこにも「移設先」はないんです。そのことを、きちんとアメリカに求める政治こそ求められていると思います。やはり無条件撤去しかこの問題の解決の道はないんだと堂々といわなければいけないと思います。
玄葉氏は、日米同盟について「戦争を抑止するためにある」などと、破たんした抑止力論を展開。「同盟にはコスト(負担)とベネフィット(利益)がある」と発言しました。小池氏はこう指摘しました。
米国に言われ変わった民主党 まさに「アメリカ言いなり」に
小池 民主党は「対等な日米関係」という言葉を「対等な日米同盟」ということに、変えてきていると思うんです。“対等に武力行使できる関係にする”と、これはとんでもない話です。憲法9条がある国で、そんな道を歩むべきではないということを強く申しあげたいし、いまの状態は「対等平等」でもなんでもありません。
民主党は沖縄の海兵隊は「抑止力」ではないとずっといっていました。菅さんも2006年に、はっきりそういっています。沖縄の海兵隊は“思い切って、全部移ってくれというべきでした”といっているわけです。それがなんで変わったのかと国会で問いただしても、一切答弁はありませんでした。
結局、アメリカに言われたから立場を変えて、国会での答弁も変えていく(という姿勢だ)。これのどこが対等な日米関係なんですか。こういうのを「アメリカいいなり」というんだと思います。こういう形では、まともな日米関係はつくれません。ここを本当に見直さなければ、日本の未来はないと思います。
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