2010年6月28日(月)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 仕事で東京に寄った税理士の友人が、真剣な目つきで話し始めました。「中小企業の7割が赤字といわれるだろう?」▼相づちを打つと、彼は続けました。「実のところ、とてもそんなものじゃない」。税の相談にのる会社をいくつか、例にあげました。黒字でも経営は苦しい。しかし、従業員は減らせません。従業員すなわち技術。人を減らせば技術を失います▼社長たちは、あの手この手でみずからの身を削ります。給料を減らす。給料が従業員の誰よりも少ない人、ほとんど受け取らない人もいます。財産の処分。友人は、「実質は赤字だ。こんな会社を含めると、8、9割は赤字会社といっていい」と実感をのべます▼法人税は、利益にかかる税金です。減税しても、利益を計上できずにそもそも納めていない赤字会社にはなんの恵みも来ません。しかし消費税は、赤字でも納めなければなりません。仕入れにかかった税を売り値に上乗せできないと、身銭をきって払います▼「消費税が10%になれば、町工場の集積地は一気に崩壊しますよ」と、東京・大田の金属加工業、佐々木忠義さん。本紙27日付で語っています。地方経済の明日を案じる友人の、憂い顔が重なります▼「日本の法人税は、実はそんなに高くない」(財界団体幹部)と知りつつ、なお大企業向け法人税減税を求め、財源めあての消費税増税を迫る財界。こたえる菅政権。歯を食いしばってものづくりや雇用を支える中小企業を危機に陥れ、なにが「強い経済」でしょう。





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