2010年6月27日(日)「しんぶん赤旗」

「教団は下請けか」

ぐるみ選挙 内部からも批判

日本宗平協「信者の自由侵害」


 参院選で、政党や政治家が宗教票に群がり、宗教の側も教団ぐるみの選挙で応じています。「政党の下請けになっていいのか」。日本宗教者平和協議会が「信者の政党支持の自由を侵す」と声明を発表したのをはじめ、教団内部からも教団ぐるみ選挙の中止を求める声が出ています。

民主も自民も

 宗教界では従来、形式的に「推薦状」を出すやり方が多数派でした。「教団ぐるみ」はそれとは違い、教団の組織や資金を投入して信者を集票に動員するもの。創価学会や幸福の科学のように自前の党を使って信者を擁立する方法と、自民党や民主党の候補者を事実上の丸抱えにして支援する方法があります。

 新日本宗教団体連合会(新宗連)は今回、民主党比例区の3人を推薦。新宗連の主力教団の立正佼成会はそのうち2人を独自に推しています。

「創価学会化」

 浄土真宗本願寺派(西本願寺)は前回(2007年)、33年ぶりに選挙参画し、教団組織を丸ごと使い、2000万円余を投入。宗門内部からも「教団の創価学会化であり、宗教教団の自滅行為」との批判が噴出しました。

 しかし今回も、民主党から比例区に出た僧侶を事実上の組織内候補として前回並みの選挙にするという動きを見せています。

 従来は形式的「推薦」をしていた日蓮宗も今回、比例区で自民党の佐藤ゆかり元衆院議員の支援を発表。元宗務総長を後援会長、全国11教区の教区長を副会長とする体制を敷き、身延山久遠寺をバックにした大型ポスターやチラシを宗門寺院に送りつけるなど、選挙を「宗門運動」に位置付けています。

 宗教界右派とされる神道政治連盟(神社本庁)なども主に自民党候補の推薦に動いています。

「教えと矛盾」

 日本宗平協の声明(別項)はこれを、「教団と信者の信頼や教団の社会的権威を損ない、開祖や宗祖を貶(おとし)める愚挙」だと指摘。日蓮宗の僧侶は「誰がどんな理由で決めたのか。こんなポスターを寺に張ることはできない」、新宗連加盟教団の関係者は「平和や憲法擁護を説いてきた開祖の教えと民主党支援とどう結びつくのか」と疑問を呈します。

 とくに日蓮宗が支援する佐藤氏は昨年の総選挙では公明党推薦で、日蓮宗を「邪宗教」と攻撃する創価学会の支援を受けており、「候補の節操や教団の見識が問われる」という声が僧侶のなかから出ています。


 日本宗平協の「ぐるみ選挙」に関する声明 1日の全国理事会で採択。「宗教者個人が独自に立候補することは自由」としたうえで、要旨次の4点を指摘しています。▽「教団ぐるみ」選挙は政教分離原則違反(選挙を布教に利用する不純な政治利用)▽信者の政党支持、政治活動の自由侵害(宗教的権威で信者に指示を押し付け、信者から預かる教団の機構、人材、財産を特定候補に投入している)▽教団の社会的公益的活動への有権者の信頼を損なう▽政治の宗教利用、宗教の政治利用で対立を生む(教団と信者を政争にまきこむ)=宗平協HPに全文掲載。





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