2010年6月27日(日)「しんぶん赤旗」
過度な競争主義改めよ
日本政府に3回目の勧告
国連子どもの権利委員会
子どもの権利条約の実施状況にかんする日本政府の第3回報告を審査していた国連子どもの権利委員会がこのほど最終所見を採択し、「過度に競争主義的な環境による否定的な結果を避けることを目的として学校制度および学力にかんする仕組みを再検討すること」などを勧告しました。子どもの権利に対する日本政府の姿勢が改めて問われることになりました。
日本政府に対する勧告が出されるのは1998年、2004年につづいて3回目。速報版によると第3回勧告は、前回勧告の「大部分が十全に実施されていないか、まったく対応されていない」と指摘しました。具体的には、貧困の増加の一方で、子どもへの福祉や補助が増えていないことに懸念を表明。国および自治体の予算を精査し、子どもの権利を優先した「戦略的な予算方針」を決定することを求めています。
福祉・学校教育の現場や政策決定過程で子どもの意見が考慮されておらず、「子どもを、権利を持った人間として尊重しない伝統的な見方が、子どもの意見に対する考慮を著しく制約している」と指摘。子どもが意見を十分に表明する権利を促進するための措置を強化するよう勧告しました。
教育については、教育制度が「高度に競争主義的」であるとし、「いじめ、精神的障害、不登校・登校拒否、中退および自殺」につながることを懸念すると述べています。
少年法「改正」によって「懲罰的アプローチを採用し、非行少年の権利および司法的保障を制限した」と強調。刑事罰適用最低年齢が16歳から14歳に引き下げられたことで「教育的措置の可能性が減じ」たとして、16歳に戻すことを考慮するよう求めました。
さらに、体罰、虐待、いじめ、性的搾取など、日本の子どもの権利が脅かされている現状を指摘、改善を勧告しています。