2010年6月22日(火)「しんぶん赤旗」
日本共産党の理論研究に注目
不破社会科学研究所所長にインタビュー
中国紙
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6月10日付の「中国社会科学報」は、「日本共産党の科学的社会主義に関する研究方法―不破哲三日本共産党前議長を訪ねて」と題して、不破哲三社会科学研究所所長へのインタビュー記事を掲載しました。
同紙は、中国社会科学院が主管する週2回刊の総合学術紙。1面には顔写真入りの記事紹介を置き、5面の全面を使って不破氏の発言を掲載しています。詳しい経歴も付けられ、「不破氏は日本の著名なマルクス主義理論家であり、マルクス主義の古典を熟読するとともに、現実と緊密に結びつけ、多くの分かりやすい研究著作を書いている」と紹介されています。インタビューをまとめた鄭萍氏は、中国社会科学院マルクス主義研究院の研究者です。
インタビューは五つの見出しと問答で構成されています。最初は「通常『日本化されたマルクス主義』の概念は使わない」の見出しです。
ここで不破氏は日本共産党がなぜ「科学的社会主義」という呼称を用いているのかを説明。中国では「マルクス主義の中国化」が強調されていますが、日本共産党は自らの綱領路線を「日本化されたマルクス主義」とは呼ばないと指摘しています。科学的社会主義は普遍性を持った学説であり、どの国で研究するにせよ、それが真理である限り、その成果は普遍性を持つからです。
次は「マルクスの著作そのものを研究し、後の人の解釈に頼らない」(見出し)。不破氏は日本共産党が科学的社会主義を研究する上での基本的態度に触れ、マルクス、エンゲルスの古典研究では「マルクスの歴史のなかでマルクスを読む」の立場で進めていることを紹介しています。
第3は「レーニンの理論的遺産を全面的に研究」、第4は「『国家と革命』における問題―革命論と未来社会論」の見出しで、レーニンの理論にかかわる内容です。
不破氏は、レーニンの理論に対する全面的な研究の重要性を強調し、レーニンの理論的遺産の豊かさとともに、革命論や未来社会論では、「強力革命」の普遍原則化や、分配方式を基準にした未来社会の二段階論など、マルクスの理論に対する誤解があることを明らかにしています。
最後は、「21世紀は変革が間もなく到来する時代」です。
不破氏は、マルクスが『資本論』で明らかにした利潤第一主義の矛盾が、今日の世界でさまざまな新たな形で表れ、資本主義制度存続の可否の問題が問われていると指摘し、21世紀の今日の世界は真の変革が到来する時代だと語っています。
不破氏は、インタビューの中で、理論問題にかかわるいくつかの視点を紹介しています。これらのなかには中国でまだ十分に研究されていない分野もあります。「中国社会科学報」はこうした問題も含む不破氏の発言を紹介するものとなっています。