2010年6月22日(火)「しんぶん赤旗」

主張

消費税増税

公約違反に自覚と反省がない


 民主党が参院選の公約で、消費税増税を含む「税制の抜本改革」の協議を求め、菅直人首相が自民党の提案した10%の税率が「参考」になると明言したことで、消費税増税問題が参院選の大争点に浮上しています。

 財界いいなりに法人税を減税する穴埋めに消費税を増税し、負担を国民に押しつけるのは、絶対に容認できません。民主党は昨年の総選挙では、衆院議員の任期中の4年間は消費税を増税しないと主張しました。民主党には、米海兵隊普天間基地の撤去問題や後期高齢者医療制度の廃止同様、公約違反の自覚と反省が問われます。

4年間は引き上げない

 昨年の総選挙での民主党のマニフェスト(「政権公約」)は、国の総予算を組み替え、税金のムダ遣いをなくすなどで、「新しい財源を生み出します」としていました。当時の鳩山由紀夫代表は党首討論会で、衆院議員の任期中の4年間は「消費税を上げる必要はない」と、明確に否定しました。

 これをうけ、総選挙後の民主、社民、国民新の3党連立政権合意では、「今回の選挙において負託された政権担当期間において」「税率引き上げは行わない」ことが明記されました。

 民主党の消費税に対する態度は、「年金財源」としての増税は認めるもので、そのための議論も否定しませんでしたが、少なくとも4年間は増税しないという公約を国民に示したことは明らかです。参院選挙の公約で消費税増税を打ち出す以上、公約違反の責任と、なぜ変えるのかの説明責任を求められるのは当然です。

 民主党は、経済情勢の悪化などで税収が落ち込み、思ったように財源が確保できなかったといいます。しかし公約が実現できなかった責任は、その誤りを認め改めて国民の信を問うべき性格の問題で、逆に居直って国民に負担を押し付けるのは筋が違います。

 菅氏は、消費税の増税分は社会保障財源にあてるとか、低所得者には軽減税率を採用するなどといいますが、これはあくまでも増税が前提のごまかしです。もともと消費税は低所得者ほど負担が重い逆進的な大衆課税で、社会保障を破壊する最悪の税金です。

 民主党は、増税を実施する前には改めて総選挙で国民の審判を受けるようにもいいますが、昨年の総選挙で選ばれた議員が増税を協議し、法案を審議すること自体が大問題です。しかも民主党の玄葉光一郎政調会長は、「最速」なら2012年秋にも増税を実施するとしており、改めて国民の審判を受ける約束の保証はありません。

消費税増税の「大連立」

 民主だけでなく、自民も公明もみんなの党も、消費税増税そのものは否定しない「大連立」派です。自民党が民主党との協議に入る条件として、マニフェストを丸ごと廃棄するよう求めるのは、まさに「やらずぶったくり」式に負担を押し付ける、露骨な増税誘導です。

 公明党も「社会保障のため」の増税は否定せず、法人税減税は一言も批判しない立場です。

 日本共産党は法人税減税のための消費税増税に反対するとともに、社会保障の財源はムダの一掃や大企業・大資産家への適切な負担で確保することを明らかにしています。日本共産党の躍進こそが消費税増税への審判になります。





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