2010年6月21日(月)「しんぶん赤旗」

民主党参院選マニフェスト

旧政権への“先祖がえり”


 昨年の総選挙で「国民の生活が第一」を掲げて国民の支持を集め、政権の座に就いた民主党。しかし、同党が打ち出した今回の参院選マニフェスト(政権政策=公約)の中身は、総選挙当時の公約から様変わりしています。

「生活が第一」→大企業応援

 総選挙のマニフェストで同党は、「すべての予算を組み替え、子育て・教育、年金・医療、地域主権、雇用・経済に税金を集中的に使います」と訴え、国民生活に大きく比重を移していました。

 ところが今回のマニフェストでは、「国民生活」より、消費税増税と米軍基地を押し付ける「大連立」の方向を打ち出しました。

 「強い経済」では、「法人税率引き下げ」を掲げ、「国際競争力の維持・強化…の観点から見直」すとしています。そのほかにも、「総理、閣僚のトップセールスによるインフラ輸出」、「規制改革」、「総合特区」、「新たな成長分野」への支援など、国民がノーをつきつけた「小泉構造改革」への回帰が目立ちます。

 「4年間は上げない」としてきた消費税も、「強い財政」の柱として「消費税を含む税制の抜本改革」と明記され、「超党派」による協議で「早期に結論を得る」としています。菅直人首相は「自民党が提案した10%を一つの参考にする」と明言。玄葉光一郎政調会長は「導入時期は最速で2012年秋」と導入時期まで示しました。

基地見直し→辺野古押しつけ

 米軍・普天間基地問題では、「米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む」とした公約はすっぽり姿を消しました。代わりに、名護市・辺野古への新基地建設と米軍訓練の全国への拡大という「日米合意に基づいて」対処することが明記されました。

 後期高齢者医療制度の「廃止」公約も180度変質。今回は新たな老人医療制度が「スタート」するまでは「存続させる」と明記しました。介護労働者の賃金の月額4万円引き上げという公約も削除されました。

 労働者派遣法問題でも、「製造現場への労働者派遣の原則禁止」という公約は削除され、大穴だらけの労働者派遣法改定案の国会提出で、公約を「実現した」と誇っています。

 悪政の方向に“強化”されたものもあります。その一つが民意を切り捨てる国会議員の定数削減。総選挙で掲げていた衆院比例80削減に加え、新たに「参院定数40削減」を公約し、菅首相が「できるだけ早期に」実行するとしました。

 国民の願いは姿を消す一方で、悪政は推進される―これでは、自民党政治への逆戻りといわれても仕方ありません。

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