2010年6月21日(月)「しんぶん赤旗」
主張
民主党「政治とカネ」
党ぐるみの疑惑隠しに審判を
「政治とカネ」の問題は、参院選挙で政党を見分ける、大事な問題のひとつです。
民主党は参院選挙に向けた「マニフェスト」で、「クリーンな民主党」に戻ると主張しています。しかし、菅直人首相(民主党代表)は、鳩山由紀夫前首相の政治資金収支報告書の虚偽記載についても、小沢一郎前幹事長の土地購入資金事件についても、いずれも辞任で「けじめ」がついたと、追及しない態度です。文字通り民主党ぐるみで疑惑隠しをしておいて、「クリーン」などといえる余地はありません。参院選での厳しい審判が不可欠です。
辞任は「けじめ」にならぬ
鳩山前政権で相次いで発覚した「政治とカネ」の問題は、民主党が自民党同様、金権腐敗政治にどっぷりとつかっていたことを浮き彫りにしました。鳩山前首相が任期途中で辞任に追い込まれたのも、米軍普天間基地問題などでの公約違反に加え、「政治とカネ」の問題でも疑惑解明の責任を果たさず、政治的道義的責任を明確にしてこなかったためです。
鳩山氏や小沢氏の辞任が、この問題での「けじめ」にならないことは明白です。鳩山氏は国会で母親などからの資金提供を、亡くなった人などの名前を使った個人献金だと虚偽報告していた責任を追及され、いったいその不透明な巨額の資金は何に使ったのかと質問されると、「(元秘書の)裁判が終われば説明したい」と繰り返してきました。ところが元秘書の有罪判決が出てからは、「プライベートな部分もある」として説明を拒否しました。たとえ辞任しても、国会で約束した説明責任を果たすよう求められるのは当然です。
小沢氏の場合はもっと重大です。小沢氏は、自分の資金管理団体「陸山会」が購入した土地の資金問題で追及され、現職の国会議員を含む3人の元秘書が政治資金規正法違反で起訴され、みずからも検察審査会で「起訴相当」と議決されているのに、一度も国会で説明していません。参考人招致や証人喚問には応じず、みずから言い出した政治倫理審査会での説明すらあいまいにしました。
菅首相は、日本共産党が小沢氏に証人喚問に応じるよう指示すべきだと求めたのも拒否しています。菅氏は、「小沢氏がしばらく黙っていてくれればいい」と、疑惑の解明を求めるどころか、疑惑隠しを図る態度です。これで「けじめ」がついたなどというのは、文字通り民主党ぐるみで疑惑を隠しているというしかありません。
菅氏は、みずから任命した荒井聡国家戦略相の「事務所費」問題についてさえ、事実上不問にしています。疑惑隠しの姿勢は、はなはだ重大です。
企業団体献金の禁止でも
かつて野党時代には菅氏も、疑惑をもたれた政治家は、辞任だけでは「けじめ」にならないと発言しています。真相究明と責任の明確化は重大であり、それをやらないなら、民主党は金権腐敗と手が切れない党といわれます。
金権腐敗政治を根絶するための企業・団体献金禁止でも民主党は、禁止時期を明示せず、政治団体を通じた献金にはその余地を残すなどあいまいです。そのうえ「政治改革」と称して、国会から国民の声を締め出す衆院比例定数の削減を持ち出すなどは論外です。