2010年6月20日(日)「しんぶん赤旗」
児童虐待
ケアへ 職員増不可欠
防止法10年 都内でシンポ
東京都港区内で19日、シンポジウム「児童虐待防止法の10年 その成果と展望」が開かれ、市民や児童福祉施設職員など180人が参加しました。NPO児童虐待防止全国ネットワークと財団法人こども未来財団の主催。
児童虐待は防止法が制定された2000年以降も増え続け、全国の児童相談所が対応した相談件数(08年度)は過去最高の4万2662件となっています。
児童養護施設に入所している子どもの6割が虐待を受けた体験があります。東京都専門機能強化型児童養護施設の一つ・クリスマスヴィレッジの治療指導担当職員・長澤克樹さんは精神科医とともに、虐待で心と体に深い傷を負った子どもへのケアの中心となっています。よりよいケアと子どもの自立のために、児童指導員、保育士などすべての職員の「協働」と手厚い職員配置数が欠かせないことを強調しました。
虐待通報を受ける児童相談所は、虐待する親から速やかに子どもを保護する役割と、子どもと親をケアした後に再び家族を形づくらせる(再統合支援)―二つの反する役割を求められます。神奈川県中央児童相談所の鈴木浩之さんは、児童相談所職員だけでなく親や家族が加わり「再統合」への話し合いをすすめる合同ミーティングのとりくみを報告しました。
国立成育医療研究センターこころの診療部部長の奥山眞紀子さんは、虐待の早期発見・予防のために求められる医療システムのあり方を提言しました。