2010年6月20日(日)「しんぶん赤旗」

語ろう 日本共産党

くらしと営業の破壊 許せません

菅首相 消費税10%発言


 

1カ月分の給与が消える

  菅直人首相(民主党代表)が消費税は10%を参考にといっていたけど、暮らしはどうなるの?

  第一生命経済研究所によると、消費税が10%になると、平均的な世帯(4人家族)では年16・5万円の負担増となり、年間34・6万円もの消費税を取られることになります。実に1カ月分の給与が消えてしまいます。

 消費税は、大企業なら価格に転嫁することができ、負担はゼロです。ところが多くの中小企業は、価格転嫁できないため身銭を切って消費税を納めなければなりません。10%になれば、「もう営業できない」という業者が多数出てきます。まさに「営業破壊税」です。

 消費税増税が景気悪化の引き金になるのは、すでに証明済みです。1997年4月に消費税が3%から5%へ増税された際、医療改悪なども含め約9兆円の負担増が国民に押し付けられました。その結果、景気は後退しました。橋本首相(当時)も後に、「(消費税増税が)不況の原因の一つになっている」(2001年4月12日、自民党総裁選の共同記者会見)と認めました。

 消費税増税は国民の暮らしと営業を破壊し、日本経済を低迷させる最悪の政策です。

「社会保障のため」は真っ赤なウソ

  医療の窓口負担は高いし、高齢化社会も不安。社会保障の充実のためなら増税も仕方ないのでは?

  消費税は低所得者層ほど負担が重くなる最悪の大衆課税、「福祉破壊税」です。現行5%でも年収200万〜250万円層では、収入のうち4・1%が消費税に消えます。一方、年収が1500万円を超える層はわずか1・43%の負担です(家計調査2008年年報から推計)。10%になれば、低所得者にさらに重くのしかかります。

 貧困と格差に追い打ちをかける悪税は、社会保障を語るにはもっともふさわしくない税です。

 「社会保障のため」と消費税が導入されて以降、社会保障はよくなるどころか改悪の連続でした。それも当然です。1989年の導入以降の22年間(2010年は予算見込み)で、消費税の税収は累計224兆円です。一方、法人税は累計で208兆円減りました。社会保障のためではなく、法人税減税の穴埋めに使われてきたのが実態なのです。

巨額借金は大企業奉仕の結果

  「日本には国と地方合わせて862兆円もの借金がある」「ツケを孫子の代に残さない」―。こんな話を聞くと、「消費税増税も仕方がないかな」と思うのですが?

  消費税は財政再建のためには使われてきませんでした。消費税は、生まれも育ちも大企業の法人税減税の穴埋めだったのです。そして今回も、財政再建のためではなく、大企業減税の穴埋めに使おうとしています。

 そもそも、巨額の借金(長期債務残高)をだれがつくってきたのでしょうか。90年代に、国と地方の長期債務残高が急増したのは、大手ゼネコン・大企業が大もうけした大型公共事業が原因です。この大型公共事業はアメリカとの約束にもとづくものです。90年にアメリカとの協議で、今後の10年間で「総額430兆円の公共投資」をおこなうことを決めたのです。その後、公共投資額を630兆円に拡大しました。軍事費も5兆円規模に膨らみ借金を拡大させています。また、相次ぐ大企業減税が税収の空洞化を招きました。

 アメリカ、財界いいなりがもたらした借金のツケを、消費税増税で国民に回すのはスジ違いです。

 財政が破たんし、金融市場を揺るがしたギリシャを引き合いに、「急いで財政健全化する必要がある」という議論もあります。しかし日本の国債は、「安全な投資」として、9割以上が国内の投資家が購入しています。「財政再建」を口実に消費税増税を求める日本経団連ですらギリシャと日本を「同一視することは短絡的」としています。

欧州から学ぶべきは大企業の応分の負担

  日本の消費税率5%は諸外国に比べて低いので、上げるのが当然では?

  イギリス(17・5%)やスウェーデン(25%)では日本の3〜5倍の消費税(付加価値税)率です。しかし、税収全体に占める割合はそれほど多くありません。これは食料品をはじめ新聞、書籍、映画などに軽減税率が適用されているからです。また、イギリスでは生活必需品(食料品、水道水、新聞、書籍、医薬品、居住用建物の建築、障害者用機器など)は、ゼロ税率で消費税負担はありません。

 むしろ、日本がヨーロッパから学ぶべきは、社会保障の財源に占める企業負担の高さです。税と社会保険料を合わせた日本の大企業の負担はフランスの7割程度です。大企業に応分の負担を求めるべきです。

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