2010年6月20日(日)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
♪あなたは もう忘れたかしら…。東京の都心部を流れる神田川は、かぐや姫の歌で知られます▼江戸時代、大都市・江戸の上水道だった神田川。水源は、三鷹市にあって武蔵野市に接する井の頭池です。池から続く水路は、杉並区の善福寺池などの水も集め、都内をぬうように走ります▼武蔵野台地でもっとも大きい湧水(ゆうすい)池の井の頭池は、春にサクラを、秋には紅葉を水面に映し、四季折々ににぎわう都民のオアシスです。かつて池を満たした湧(わ)き水は、ほとんど枯れました。かわりに、地下水をくみあげています▼武蔵野台地のゆたかな地下水。三鷹市、武蔵野市、調布市は、今も水道水の6、7割を地下水でまかないます。ところが、人の命とかけがえのない自然をはぐくむ地下水が、枯れたり汚染されたりするかもしれません。40メートルより深い地下に巨大トンネル道を通す、東京外環道の計画です▼外環道は、周りに地下水を蓄える水源地帯をつらぬきます。北は練馬区の石神井池・三宝寺池から善福寺池、井の頭池、世田谷区の国分寺崖線(がいせん)…。もちろん、地上へ吐きだされる排ガスや出入り口の大渋滞による大気汚染も心配です。総額2兆円、1メートル1億円以上。民主党政権は、東京都も渋滞減らしに役立たないと認める無駄な事業を推進します▼菅首相は、井の頭池のそばの武蔵野市に住む人です。こどものころ井の頭池でよく遊んだ政治家に、日本共産党の小池晃参院議員がいます。小池さんは東京選挙区でただ一人、建設中止を訴えます。