2010年6月18日(金)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
先日、テレビの国会中継をみていたら、菅首相が熱弁をふるっていました。“財務省は、800兆円の借金を減らせなかったではないか”と▼だから官僚にまかせないよう政治家の出番だ、という理屈です。「ちょっと待ってほしい」と、声をかけたくなりました。15年以上前の話ですが、火だるまの財政赤字を語るうえで忘れられない出来事があるからです▼1994年、村山内閣は、95年度から10年間の公共投資を「おおむね630兆円」へと見直しました。4年前に海部内閣がアメリカの求めに応じ決めていた「430兆円」を、200兆円も上乗せしました▼話の出どころは、やはりアメリカです。村山首相は、当時のクリントン大統領との会談で増額を約束させられました。政府内から「げっぷがでる」と声があがるほどの公共事業ばらまきで、財政赤字は雪だるま式にふえてゆきます▼村山内閣は、自民・社会・新党さきがけの政権。菅首相の経歴をホームページでみると―。「1994年 新党さきがけに入党し、党の政策調査会長就任。自社さ政権では与党3党の政策づくりを努める」。菅首相はいま、「公共事業中心」は「失敗」だった、といいます▼ならば、“自分も失敗を招いた政権の一員だったが…”ぐらいの断りがあっていい。沖縄の海兵隊については、「抑止力と関係ない」の前言からあっさり「重要な抑止力」へ。首相の“あっけら菅”ぶりには恐れ入ります。それで、「私を信頼して」(所信表明)というのですから。