2010年6月17日(木)「しんぶん赤旗」

主張

「日米合意」踏襲

県民・国民は絶対に許さない


 民主党など与党が、菅直人新政権への衆参予算委員会での論戦を封殺したまま、国会を閉幕しました。予算委での論戦なしに国政選挙に突入するのは、民主主義に反する最悪の暴挙です。

 衆参本会議でのわずかな論戦とはいえ、アメリカに忠誠を誓い、財界に追随する菅新政権の姿勢はあらわです。鳩山由紀夫前首相が辞任に追い込まれた沖縄の米海兵隊普天間基地の問題では、県内「移設」を明記した日米合意を踏襲し、「何としても実現」と繰り返しています。県民・国民の意思より米国の要求を上におく菅政権への参院選での厳しい審判が不可欠です。

自らの発言も裏切って

 日米合意は、沖縄県民が普天間基地の即時閉鎖・返還を要求し、県内「移設」反対の意思をくりかえしつきつけているのに、その意思をふみにじって名護市辺野古に新基地をつくって県内「移設」を強行し、「訓練移転」の名で鹿児島県徳之島などに被害を拡散する最悪の取り決めです。

 沖縄県民は、4月の県民大会に、県知事や41自治体首長をはじめ9万人もが参加し、文字通り「島ぐるみ」で県内「移設」反対の意思を示してきました。日米合意のあとも、その意思はまったく揺るがず、地元紙などの調査でも84%が県内「移設」に反対しています。菅首相が「日米合意を踏まえる」とくりかえし、県内「移設」を押し付けようとしても、県民の合意が得られるはずはありません。

 菅政権になって重大なのは、菅首相や閣僚が県民の「合意」を得られなくても、日米合意をごり押しする姿勢をむきだしにしていることです。菅首相は「誠心誠意説明し理解を求めていく」とはいうものの、県民の「合意をうる」ことを前提にしていません。岡田克也外相や北沢俊美防衛相は、日米合意で8月までに決めることになっている基地の配置や工法について、「沖縄の合意を求めなければならないものではない」といいます。

 県民の頭越しに日米合意を結んだうえ、県民の合意もなしに新基地建設に向かおうとしている菅政権のやり方に、仲井真弘多県知事も「ブルドーザーと銃剣でやるつもりか」と批判するほどです。

 普天間基地の県内「移設」を押し付けようという菅首相の態度が、最近まで沖縄の米海兵隊は「抑止力とはいえない」とか、「海兵隊は沖縄から撤去させる」と繰り返していた菅氏自身の発言にも反していることも重大です。ところが菅氏はそのことを国会で指摘されても、「今は変わった」などと開き直っています。日米合意実行のためには自らのこれまでの発言さえ簡単に投げ捨て、説明もできず、開き直るだけという情けない態度です。これこそ、菅政権がアメリカ追随の道にはっきり踏み込んだことを証明するものです。

米国にもの言う政治を

 菅政権は、経済運営でも法人税減税のために消費税を増税する路線に踏み込むなど、財界いいなりを浮き彫りにしています。アメリカに忠誠を誓い、財界の要求に追随する姿勢が、国民との矛盾をいっそう広げるのは必至です。

 24日公示が確定した参院選で、普天間基地問題や消費税問題は大きな焦点です。アメリカにも財界にもものの言える日本共産党の躍進こそが、国民が願う政治を進める最大の保証になります。





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