2010年6月16日(水)「しんぶん赤旗」

主張

改正貸金業法完全施行

多重債務問題根絶する契機に


 改正された貸金業法が、18日から完全施行されます。

 サラ金や闇金と呼ばれる貸金業者が、利用者の弱みに付け込んで異常な高金利で貸し付け、しつような取り立てで苦しめて、家庭崩壊や最悪の場合は命を絶つ事態さえ相次いだ、高金利・多重債務問題を是正するための法改正です。貸金業者らは、「利用者が困る」などの理由で完全施行を延期させようと企てましたが、それを許さなかったのも国民のたたかいです。

 改正貸金業法の完全施行をきっかけに、多重債務問題の根絶を前進させることが求められます。

施行延期許さなかった

 法定金利を大幅に上回る高金利で貸し付け、自宅だけでなく職場まで押しかけて返済を迫る、返せないというと大声などで脅し、親類や知人のところまで返済を要求する―サラ金や闇金の異常な貸し付けは、重大な社会問題でした。借金を返すため新たな借金を余儀なくさせられ、家庭崩壊や夜逃げ、さらには自殺や心中に追い詰められるという、いたましい例も後を絶ちませんでした。

 決して過去のことではありません。正式に貸金業者として登録せず貸し付ける闇金など、悪質業者は後を絶ちません。借りるつもりがない人にも一方的に金を振り込むなどしてだまして借金させ、高い金利を負担させるケースも相次いでいます。高金利・多重債務問題の解決は、切実な課題です。

 貸金業法の改正はこうした異常な事態を正すため、いまから3年半前の2006年12月の国会で、全会一致成立しました。借りすぎ・貸しすぎを防ぐための総量規制、上限金利の引き下げ、貸金業者に対する規制強化などです。貸金業者の暴力的取り立てへの規制や、違反した業者への罰則規制などは順次実施されています。

 もともと貸金業をめぐって異常な事態が相次ぐ大きな原因となったのは、利息制限法では金利の上限は年15から20%となっているのに、出資法では年29・2%を超えなければ刑事罰が科せられなかったため、その「グレーゾーン」をねらって高金利での貸し付けが横行したためです。改正では、この「グレーゾーン」が撤廃され、利息制限法の上限を超える貸し付けは無効となりました。

 18日からの完全施行で実施されることになる総量規制は、借入総額が年収の3分の1以上になる場合は、新たな借り入れができないというものです。貸金業者は、利用者が困るといって、完全施行を延期しようとしました。しかし、本当に借り入れが必要な人は、自治体のセーフティー融資など公的な融資を利用することもできます。総量規制で困るのは、利用者ではなく、貸しすぎで暴利をむさぼる貸金業者です。

闇金への規制も強めて

 改正貸金業法の完全施行は長年のたたかいの成果ですが、闇金など、もともと貸金業法の規制を受けていない悪質業者は、これだけでは取り締まれません。多重債務問題を根絶するためには、闇金業者などへの取り締まりを強めることや、資金を提供している側にも規制を広げることが必要です。

 何より悪質な貸金業者に頼らなくていいよう、安心して暮らせる社会を築き、万一の場合は政府や自治体がくらしを支える仕組みを充実させることが求められます。





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