2010年6月13日(日)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 橋爪法一(のりかず)さんが、随筆集『「五センチ」になった母』に「大きな靴」と題し書いています。新潟県上越市の共産党市議、橋爪さん。大きな靴とは、お父さんの革靴です▼お父さんは、家族を残し酒造りの仕事に行くとき、必ず茶の革靴を履いていました。履く前に自分で磨いて。「どういうわけか、その姿が強く印象に残っていて、出稼ぎで父を送る時の切なさと迎える時の喜びの記憶は父の靴と一体なのです」▼父が何十年も履いてきた革靴。くたびれ、めでたい席には古すぎる。孫の結婚のときには、ピカピカの靴を買ってあげよう。式場で、車いすに乗って新しい革靴を履く父は、どんな表情をみせてくれるだろう…▼アルメニアの洞くつで世界最古の革靴がみつかった、といいます。なんと5500年前に革靴があった…。どんな人が履いていたのやら。持ち主は、橋爪さんのお父さんに負けないぐらい大事に使っていたに違いありません▼二本足で歩き、進化してきた人類。骨と筋肉や腱(けん)、じん帯などをうまく組み合わせた足は、「自然が生み出した最高傑作」といわれます。もともと人間の足には、ほかの動物と同様に履物がいりませんでした。しかし、さまざまな理由で足を保護する必要に迫られたのでしょうか▼靴はいまや、私たちの足の一部と化しています。差しあたっての関心事は、もうすぐやってくる梅雨をどんな靴で過ごすか、です。参院選も梅雨どきです。雨が降っても心配しないですむ靴を履き、ビラを配れるように。





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