2010年6月12日(土)「しんぶん赤旗」

IAEA理事会

“イスラエルの核査察を”

加盟求め国際圧力強まる


 ウィーンで開かれている国際原子力機関(IAEA)理事会(35カ国)は10日、イスラエルの核能力について論議しました。核の軍事利用阻止を目的とした国連の機関でのイスラエルの核を対象にした論議は1991年以来19年ぶり。アラブ諸国の代表はこの日、イスラエルが核不拡散条約(NPT)に調印し、IAEAの査察を受けるべきだと主張しました。(伴安弘)

 アラブ諸国を代表して発言したスーダンのエルアミン大使は「イスラエルは国際社会に挑戦しNPTへの加盟を拒否し続けている」と批判。パレスチナ支援船団襲撃・拿捕(だほ)事件などを念頭に、「イスラエルの核の脅威はアラブ諸国への侵略政策によっていっそう強まっている」と強調しました。

 また、NPT加盟国イランのソルタニエ大使は「(中東)地域の安全にとって唯一の潜在的脅威はイスラエルの核能力だ」と指摘。一方で核開発問題でイランに圧力をかけながら、他方でイスラエルのNPT加盟問題の論議を避けている西側諸国の姿勢を批判しました。

 これに対し、米国のデイビーズ大使は「イスラエルはいかなる協定にも違反していない」と述べ、イスラエルの核が議題に上がったこと自体に遺憾の意を表明しました。

 一方、IAEAの天野之弥事務局長はIAEA加盟の151カ国の外相にあてた9日の書簡の中で、イスラエルのIAEA加盟と査察を求めた昨年9月のIAEA総会決議の履行の具体化の論議を呼びかけました。

 イスラエルは数百発の核兵器を保有しているとみられますが、公式には保有を「否定も肯定もしない」としています。一方で「抑止力は必要だ」として、事実上、核保有を認めています。

 5月にニューヨークで開かれたNPT再検討会議の最終文書は2012年に中東非核地帯についての会議を開くよう呼びかけました。中東地域で核兵器を唯一保有するとされるイスラエルが自国の核について明らかにする国際的圧力が改めて強まっています。





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