2010年6月10日(木)「しんぶん赤旗」
「名ばかり専門派遣」に指導
宇部三菱セメント支店に
愛知労働局
「事務機器操作」の名目で派遣された女性にお茶くみや経理をさせていたとして、愛知労働局がセメント大手の宇部三菱セメント名古屋支店(名古屋市中区、本社東京)に是正指導をしていたことが9日までに分かりました。いわゆる「名ばかり専門派遣」の実態に光を当てる指導として注目されます。
女性は、派遣大手のスタッフサービス(東京)に登録、2006年10月から今年5月まで宇部三菱で働いていました。労働者派遣法では派遣先は一定期間を過ぎたとき、派遣社員に直接雇用を申し込む義務がありますが、女性は申し込みの対象外となる専門26業種の一つ「事務機器操作」の契約でした。
しかし実際は本来業務以外に、お茶当番、新聞のファイル、宅配便の手配、正社員の制服のクリーニング手配などの庶務全般、さらには、入出金管理といった経理業務まで任されていました。女性は「すべての業務を行わない限り、常に派遣契約が終了されるという不安が付きまとう状況」だと述べています。
女性は4月下旬、愛知労働局に業務の偽装を申告。労働局は5月中旬に同社名古屋支店を立ち入り調査し違法を確認、今月に入って是正指導を行いました。
女性の相談にのってきた名古屋北部青年ユニオンのサポーター、石田進さんは「事務機器操作の契約になっている派遣労働者は、ほとんどが“名ばかり専門派遣”だといえます。また、労働者を大事にする思想のないスタッフサービスの責任も大きい。派遣先、派遣元の責任を明らかにして、彼女の雇用の安定を勝ち取りたい」と話しました。