2010年6月2日(水)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 6月1日、といっても旧暦の昔の話ですが、富士山の山開きでした。江戸時代、各地で「お富士さん」を拝む祭りが盛んでした▼「お富士さん」は、いわば人造富士です。たとえば、古墳を富士山の形に変えます。江戸の神社で売られる「お富士さん」祭りの名物は、麦わら細工のヘビ。疫病よけのお守りでした▼江戸で有名な麦わら細工産地が、大森蒲田でした。いまの大田区。明治時代に麦わら帽子が登場すると、当地の麦わら細工は国の花形産業の一つになります。麦わら細工業は、今日の工業の町・大田を生んだ力の源ともいわれます▼いまや、47都道府県すべてに1万3千近い取引先をもつ大田区の町工場地帯。働き手数人の小さな工場がいくつか集まり力を合わせると、大企業顔負けの製品をつくる。国宝級の技術者が、コンピューターつき機械ではできない加工を、音や目視、手の感覚で確かめながら、100分の1ミリの誤差もなくやってのける▼高い技術でわが国のものづくりの競争力を支える町工場は、競争力を支えさせられてもいます。大企業の費用減らしです。下請け単価たたき。下請け切り。しかし、大企業が費用の競争力を求めるあまり、町工場が立ち行かなくなってはたいへん。技術の競争力の土台が失われ、元も子もありません▼大田区の事業所の数は、06年までの20年間に42%も減っています。日本共産党が先週、大田区で開いた「下請・中小企業懇談会」の合言葉は、「『日本の宝』町工場の灯を消すな!」でした。





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