2010年6月1日(火)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 〜しない生き方、〜的生き方、〜という生き方…。書名に「生き方」という題名のついたものが相変わらず多い。売れてもいます。社会の生きにくさと関係がないでしょうか▼出生率は世界最低クラス、自殺死亡率は世界トップクラスで、そのうち女性は世界第3位です。所得格差は先進国のなかでトップクラス、平均賃金格差は主要先進国で最大であり、母子世帯の相対的貧困率は先進国で最高クラス▼これは日本学術会議が今年発表した提言「誰もが参加する持続可能な社会を」に書かれていたものです。日本社会について国際比較を交えた指標の数々をあげ「社会の再生産が危ぶまれるような状況」だと告発しています▼貧困や格差の広がりが、学ぶ機会と教育達成に影を投げかけている報告も含まれ、「所得格差が拡大し固定化すれば学力の格差も拡大する」と警鐘を鳴らします。一昨日、都内で教育関係者の公開シンポジウムを聞きました。『ドキュメント高校中退』の著書もあり、高校中退者の調査をしている元高校教師の青砥恭さんが話していました▼中退した子どもの多くには、親の貧しさ、幼児期の虐待、家庭崩壊、DVなど貧困をつくる決まった型が出ている。また「格差は、貧困をさらに拡大し、子どもの意欲を失わせ、格差の広がりは子どもの貧しさを絶望的にしている」▼子どもの立場でどう解決していくのか、教育と福祉を一体化して対策をと青砥さんは訴えました。生きにくさを変える社会全体の取り組みが急がれます。





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