2010年5月25日(火)「しんぶん赤旗」
口蹄疫被害の宮崎
川南・新富両町 共産党調査に要望切実
畜産再開 国の責任で
赤嶺議員・ばば氏ら
家畜伝染病・口蹄(こうてい)疫の被害が深刻な宮崎県で、日本共産党の赤嶺政賢衆院議員、ばば洋光参院選挙区予定候補らは24日、感染発症地の家畜移動制限区域(半径10キロ圏)の川南、新富両町を訪れ、被害の実態、自治体の要望などについて調査しました。
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赤嶺議員は、「党としてできるだけのことはしたい」と町長らを激励し、「みなさんの思いを聞かせてほしい」と述べました。
川南町では、内野宮正英町長と蓑原敏朗副町長が応対。内野宮町長は、殺処分された家畜の埋却地について「これまでに自分の土地に埋めた人、新しく土地を買った人などとの間で農家に不公平感がある。国が責任を持って対応してほしい」と指摘。「国家の危機なのだから、国が交付金など財政的な手当てをしてほしい」と訴えました。
蓑原副町長は、「農家への生活支援と同時に、ひづめの手入れをする削蹄(さくてい)師など畜産業に関連する産業の人々の生活を守る対策が必要です」と対策を求めました。
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畜産農家の経営再開支援では「貸し付けでは限度がある。国が補助すべきだ」と要請しました。
新富町の壱岐健一副町長は、ワクチン接種などへの補償がはっきりしないことや経営再開後の風評被害への不安が農家に広がっている現状について説明。「『もう一度立ち上がろう』と農家のみなさんが思える対策を与野党を超えて示してほしい」と訴えました。
調査には、前屋敷えみ県議、内藤いつ子川南町議、吉田貴行新富町議が参加しました。
“処分牛埋却地が不足” 農家苦境
宮崎県内で深刻な広がりをみせる家畜伝染病口蹄疫。発症農場から半径10キロ圏内を対象にして、牛や豚の殺処分を前提に、ワクチン接種作業が始まっていますが、並行して進まないのが、処分した家畜を埋める土地の確保です。
口蹄疫発症か発症が疑われる牛や豚は23日現在、14万4300頭を超えています。このうち殺処分して埋めた家畜は約7万頭。「毎日3000頭ほど患畜が増えており、未処理分が減らない状況」(同県畜産課)です。
対象区域にはいっている西都市の和牛の繁殖農家(62)は、「あす、あさってにも発症があるかもしれない。このままだと県内全域からほかの県まで広がっていくので、10キロ圏内のワクチン接種はやむをえない」といいます。
75頭いる牛は全頭処分になります。「ようやく仕事が軌道にのったのに、こんな事態になるとは…。とにかく早く口蹄疫を撲滅することが第一だ」と苦渋の胸の内を話します。
国の被害補償が被災の実態にあうものになるか心配だといい、当面、処分牛を埋める土地の確保が悩みの種だといいます。「牧場の近くに畑はあるが近隣の同意が得られるかどうかもわからない。自衛隊の用地や県の土地をすぐに利用して埋却できる土地や簡易焼却場をつくってほしい」と語りました。