2010年5月24日(月)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 本棚の上に、20個ばかりの貝殻をお皿に入れて飾ってあります。淡い黄、薄紫、灰色まじりの青…。すべてタカラガイ(宝貝)です▼楕円(だえん)の形も美しい。古くから世界各地で、生命の誕生と再生のしるしとして尊ばれてきたタカラガイ。沖縄の辺野古の浜で拾ってきました。タカラガイが打ち寄せられる波打ち際から、ゆたかな生命の営みの繰り広げられる海が広がっています▼タカラガイの開口部は堅そうです。“誰にもこれ以上こじ開けられないよ”と合図しているようで、「貝になりたい」の言葉が浮かびます。貝は、人がしゃべりたくない時の沈黙のしるしでもあります▼鳩山首相は、貝になりたかったかもしれません。しかし、いつまでも黙っていては首相が務まらない。きのう沖縄を訪れ、普天間基地の「移設」について正式に打ち明けました。「やはり、辺野古の付近にお願いせざるをえない」と▼「私自身の“できるかぎり県外”の言葉を守れなかった」と謝った首相ですが、「『最低でも県外』の方向で積極的に行動したい」の約束は忘れた? 「最低でも」と「できるかぎり」。落差は大きい。言葉づかいの過ちが政治家の命取りになった歴史を、首相も知らないはずはないでしょう▼しかし、軽い言葉に振り回される沖縄県民ではありません。首相は、県民の平和の心の深さを見誤っています。辺野古に座り込む人が、タカラガイをてのひらに乗せ語っていました。「ゆたかな沖縄の海を、もう戦争に利用させたくないんです」





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