2010年5月22日(土)「しんぶん赤旗」

世界と米国に事実と道理で働きかける

志位委員長が訪米報告

米国・財界にモノ言える党の躍進を


 日本共産党の志位和夫委員長は21日、党本部で開かれた「アメリカ訪問報告会」で、日本共産党党首として初めてとなった訪米(4月30日から5月8日)の成果について詳しく報告(2面に骨子)しました。さまざまなエピソードに彩られた活動の報告に、会場がわく場面も。世界と米国政府に事実と道理をもって働きかけた成果を踏まえ、「『米国にも財界にもモノが言える党』は日本共産党だけです。この党の躍進こそ、日本の前途を救う確かな力です」と呼びかけました。報告はインターネットを通じて全国で視聴されました。


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(写真)志位和夫委員長が報告するアメリカ訪問報告会=21日、党本部

 志位氏は活動した8日間の全体を通して、(1)「核兵器のない世界」という被爆国・日本国民の悲願を国際社会に訴える(2)「基地のない沖縄」「対等・平等・友好の日米関係」という沖縄県民・日本国民の願いを米国政府・議会・米国社会に伝える―という二つの仕事ができたと振り返りました。米国政府・議会と公式の対話の道を開いたことにも、「第一歩だが、今後にとって重要な意義がある」と語りました。

 「核兵器のない世界」をめざす歴史的なチャンスの会議となっている核不拡散条約(NPT)再検討会議での活動について、「政府によって構成される会議」への働きかけは党として初めてで、国連のIDカードを取得するために30度の炎天下、4時間半も「牛歩」した経験を語ると、会場から驚きの声も。

 「結果として本格的といってよい働きかけができた」と述べた志位氏は、その「命綱」となったのが、会議主催者、国連関係者、各国代表団への要請文だったと紹介。要請の内容を(1)2000年のNPT再検討会議が合意した「自国核兵器の完全廃絶を達成するという全核保有国の明確な約束」の再確認(2)核兵器廃絶のための国際交渉開始の合意をつくること―の2点にしぼったこと、なかでも核廃絶交渉と核軍縮の部分的措置の関係を「一体に、同時並行で」とした提起が「大きな力を発揮した」とのべました。

 それぞれの会談の内容を紹介した上で、「全体として、私たちの要請文の立場と世界が響き合った。これが代表団の実感です」と強調しました。

 また、世界諸国民の世論と運動こそが「核のない世界」への推進力だと強調。691万人の国際署名を1時間も待ち受けて受け取ったNPT会議議長の行動など、感動的なエピソードを交えて紹介しました。

 帰国後、NPT再検討会議の第1委員会(核軍縮)が報告草案に党の要請と合致する提起を盛り込んだという「ビッグニュース」に触れた志位氏。「こういう方向が交渉の過程で出されてきたこと自体が世界の画期的な変化を反映しています。そこに日本の平和運動と党の活動が貢献していることも間違いない」と指摘しました。

 志位氏はニューヨークでの活動の感想として、(1)新興国や途上国が重要な役割を果たし、道理に立った主張を貫けば国の大小にかかわりなく尊重されるという「世界の構造変化」を実感したこと、(2)日本の原水爆禁止運動と日本共産党の提起した方針が政府間の国際会議で試され、「国際的な試験に合格し、道理と力が証明された」ことをあげました。

 とくに、ソ連の干渉をはねのけて核兵器廃絶の旗を守った日本の原水爆禁止運動の歴史を振り返った志位氏は、この伝統の力が「いま、国際政治と大きく響き合って、それを前に動かす働きをしている。ここに確信をもって『核兵器のない世界』に進むために力を尽くしましょう」と呼びかけました。

 核兵器問題、日米関係・沖縄問題をめぐる米国政府との会談に話を進めた志位氏は、日米関係では根本的に立場が違うが、外交的節度を保ちつつ、きっぱりと党の態度を伝えようとのぞんだことを紹介しました。

 志位氏が伝えた一つは、沖縄の情勢と問題解決の道についてです。普天間基地「移設」方針が完全に破たんし、「普天間基地閉鎖・撤去、県内移設反対」という沖縄県民の総意は揺るがぬものとなったこと、この事実を直視すれば無条件撤去しか解決の道はないことを率直に提起しました。

 もう一つは、沖縄の歴史的苦難といまの局面を歴史的視野でとらえることの必要性です。志位氏は、条約上は不可能なことを決断した沖縄の施政権返還と同じような決断が求められる歴史的岐路に日米関係が立ち至っていることを伝えました。

 志位氏は「米国政府がアメリカの地で日本の国会議員から、正面切って沖縄県民の声がどこにあるかを聞いたのは、これが初めてではないでしょうか」と語りました。

 同時に、米国側がのべた「最初の言葉」―「これまで日本共産党との接触はありませんでしたが、日本共産党は公党です。意見交換をすべきです」と、「最後の言葉」―「見解は違っても意見交換するのは有益であり、民主主義の基本です。これからも続けましょう」について、「たいへん重要だと感じた」とのべ、「その点は、全面的に同意します」と応じたことを紹介しました。

 最後に志位氏は訪米の意味を三つの角度から説き明かしました。

 第一は、なぜ初訪米が実現したかです。米国でも反共の壁が大きく崩れつつあると同時に、米国を「複眼」でみるという日本共産党の帝国主義論の発展が変化への対応を可能にしたと語りました。

 第二は、日本共産党の野党外交が米国にまで到達した意味です。志位氏は、綱領実現に直接かかわる米国政府・議会と対話の道を開いたことは、ゆくゆくは安保条約を廃棄し日米友好条約を結ぶ「礎石を築いたといっていい」とのべました。

 第三は、日本政府の「情けない姿」です。核兵器問題では「核抑止力」論の呪縛(じゅばく)にとらわれ、沖縄基地問題では「海兵隊は抑止力」論の呪縛にとらわれ、「米国にモノ言えぬ政府」となっている現状を告発しました。

 志位氏は、目前に迫った参院選での政党選択の基準は「米国にモノが言える党か、米国言いなりの党か」「財界にモノが言える党か、財界言いなりの党か」の二つだと強調。「相手が米国でも財界でも、耳を傾けざるを得ない事実と道理をじゅんじゅんと説き、国民の立場で現実政治を一歩でも二歩でも動かすために知恵と力をつくす。日本共産党のこの値打ちに誇りを持ち、国民に知らせ切り、参議院選挙では必ず躍進を勝ち取ろうではありませんか」と呼びかけ、大きな拍手に包まれました。





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