2010年5月21日(金)「しんぶん赤旗」
日米、「辺野古」を明記
普天間「移設」 月内に共同文書化
日米両政府が米海兵隊普天間基地(沖縄県宜野湾市)の「移設」先として、米海兵隊キャンプ・シュワブがある「沖縄県名護市辺野古周辺」と明記した共同文書を月内に作成する方向で調整していることが20日、分かりました。
平野博文官房長官は同日の記者会見で、「月末までに日米間の合意を作る」と明言し、共同文書の検討を認めました。
鳩山由紀夫首相が28日にも発表する対処方針に反映させ、首相が公言していた「5月末決着」に代える狙いです。しかし沖縄県民は、9万人が集まった4月25日の県民大会で「県内移設反対」の総意を示しています。
文書は、日米の外務・軍事閣僚(2プラス2)の合意とし、在沖縄米軍による訓練の本土への移転なども盛り込みます。これに関連して岡田克也外相は21日に来日するクリントン米国務長官と協議。北沢俊美防衛相は23日にも訪米し、ゲーツ米国防長官と会談する方向です。
共同文書では、具体的な工法などについては書き込まず、継続協議とします。ただ、政府が提示した「くい打ち桟橋工法」案は、現行計画に基づく環境影響評価(アセスメント)のやり直しが必要となり、工期が長期化することから米側が難色を示しており、結局、現行計画に近い埋め立て案に回帰する可能性が強まっています。
政府は、ヘドロの再利用など「環境造成型」埋め立て工法を模索していますが、首相は「(辺野古の埋め立ては)自然への冒瀆(ぼうとく)」と断じています。普天間「移設」先について、「最低でも県外」という公約と併せ、首相の政治責任が問われます。