2010年5月20日(木)「しんぶん赤旗」
地球温暖化対策基本法案に対する日本共産党の抜本的な修正案大綱
2010年5月19日 日本共産党
人類共通の課題として緊急に取り組むべき地球温暖化で、先進国の日本が国内外で歴史的な責任を果たしていくためには、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の科学的な要請に応えた中期削減目標を他の国がどうであれ前提なしに設定し、それを確実に実現する総合的な施策を実施していくことが強く求められている。
ところが、民主党政権の地球温暖化対策基本法案は、中期削減目標が前提条件を満たされない限り施行しないことや、基本的施策でますます原発依存を強める一方で、国と産業界との公的削減協定の締結など実効ある施策がないなど、産業界頼りの姿勢から転換できず、2013年以降の国際的枠組みづくりもリードできないものとなっている。
そこで、以下の主要な事項について、日本共産党の抜本的な修正案を提案する。
第1、法案の目的に、「コペンハーゲン合意」で明確に規定されている気温上昇を産業革命以前から2度以内に抑えることを明記し、現在の持続不可能な社会経済構造の転換を促進する規定を盛り込む。法的拘束力のある国際的枠組みづくりを阻害する「公平なかつ実効性の確保」などの規定は削除する。
第2、中期的目標について、すべての主要国の合意を前提とする規定は削除する。2020年までの中期目標は他の国がどうであれ前提なしに90年比30%削減を設定する。同時に、法的拘束力のある国際的な枠組みの構築及び先進国の意欲的な目標の合意に努力することを明記し、わが国が2013年以降の国際的な枠組みづくりをリードする。
第3、基本的な施策で、欧州地域でも実施され、IPCCの第4次報告でも役割が評価されている国と産業界との公的削減協定を締結する規定を施策の筆頭に盛り込む。さらに、国内排出量取引制度では、原単位方式の検討規定を削除し、発電施設も含めた事業所の直接排出量の総量削減を定めるなどにより、実効ある施策となるものとした。
第4、基本的な施策で、IPCCの第4次報告でも「安全性、核兵器拡散、核廃棄物の問題」が指摘されている原子力の推進規定を全面削除する。2020年までに再生可能エネルギーの供給量の割合を20%に引き上げることで、原発依存から再生可能エネルギーへの政策転換を明確に位置付けるものとした。
日本共産党は、以上の修正案を提起し、地球温暖化対策基本法案の抜本的な修正の実現に最後まで力をつくす。
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