2010年5月19日(水)「しんぶん赤旗」

NATO「新戦略概念」

核兵器保持を明記

専門家グループが勧告


 【ロンドン=小玉純一】北大西洋条約機構(NATO)の新しい指針「新戦略概念」を検討してきた専門家グループ(議長=オルブライト元米国務長官)が17日、NATO理事会に対し、核兵器が存在する限り核兵器を保持するなどとした報告書「分析と勧告」を提出しました。


 「NATO2020―確実な安全保障 ダイナミックな関与」と題する「分析と勧告」は、新たな脅威として「弾道ミサイル攻撃」「テロ攻撃」「サイバー攻撃」などをあげ、NATO域内の防衛と同時に「域外での作戦で勝利する能力の強化」を強調。域外作戦の指針(ガイドライン)確立が必要だとしています。

 核兵器については「核兵器が存在する限り」「必要最小限の水準」で「維持し続けるべきだ」と主張。欧州に配備されている核兵器を含めて「核兵器政策の変更はNATO全体によってなされるべきだ」としました。また核不拡散の努力を支持し「核戦争の脅威のない世界へ前進させる」とし、ロシアとの対話を重視する方向を提案しています。

 また「イランからのありうべき弾道ミサイル攻撃」と国名をあげて「脅威」を指摘し、ミサイル防衛網の強化を提唱しました。

 一方で「勧告」は、NATOの価値が「多くの人には以前ほど明らかでない」とし、「国際的な安定と平和へのNATOの貢献を強調しないと、世論の支持や財政支援を維持できなくなりかねない」とも述べています。

 NATOの現行「戦略概念」は、1999年に決定されたもので、改定作業が昨年から進められています。「分析と勧告」も踏まえ、ラスムセン事務総長が草案をつくり、11月にリスボンで開く首脳会議で決定する予定です。





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