2010年5月18日(火)「しんぶん赤旗」
志位和夫委員長のNPT再検討会議議長あて書簡
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NPT再検討会議議長 リブラン・カバクチュラン閣下
親愛なリブラン・カバクチュラン議長。
議長と去る5月2日にニューヨークでお会いし、第8回NPT再検討会議への私たちの要請をお伝えし、意義ある意見交換することができたのは、私にとってたいへんうれしく、光栄なことでした。あなたがきわめて多忙にもかかわらず時間を割いていただいたことに、心からの感謝を申し上げます。
私は、日本に帰国した直後、5月14日に発表されたNPT再検討会議の第1委員会の報告草案に接して、大きな感銘を受けています。それは、報告草案が、2000年の再検討会議でおこなわれた核保有国による核兵器廃絶の「明確な約束」の再確認とともに、「すべての国、特にすべての核保有国が、核軍備削減・廃絶の最終段階に到達し、核兵器のない世界を維持するために必要な法的枠組みを確立する」ことを提案し、その具体策としてつぎの行動を提起しているからです。
――「核保有国は、核軍備削減・廃絶における具体的な進展を促進するために、2011年までに協議を開始するものとする」(「行動6」)。 ――「具体的な時間枠内での核兵器の完全廃絶のためのロードマップについて合意する方法と手段を検討するため、2014年に国際会議を招集する」(「行動7」)。 |
核兵器の完全廃絶のためのロードマップを検討するために国際交渉を開始するという提起は、過去の再検討会議ではなかった画期的なものです。それは、私たちがあなたにお伝えした「核兵器廃絶の目標そのものを主題として、この目標にいたるプロセスを検討する国際交渉を開始する」という要請と合致するものであり、また、被爆国・日本の反核平和運動が求めていることそのものです。私は、この提起を心から歓迎するとともに、これが実行に移されれば「核兵器のない世界」に向け大きな前進がはかられるものと確信するものです。
議長が、5月2日、日本からの690万の署名を国連本部前で直接受け取られ、翌5月3日、再検討会議の開会にあたっての演説の冒頭で、「昨日、私は、市民社会が集めた署名を受け取りました。私たちは、この熱意に応えなければなりません」とのべられたことは、日本から要請活動に参加した人々に強く大きな感動をあたえています。
私は、この報告草案を準備する過程で議長が払われた多大な努力を称賛するとともに、今後の協議において、さまざまな困難をのりこえ、報告草案に示された方向が実を結ぶよう、議長がひきつづき力をつくしていただくことを心から要請するものです。
日本共産党も、日本の反核平和運動とともに、この方向が実るよう日本政府や世界各国にも働きかけるなど、可能なあらゆる取り組みをおこなうことを決意しています。
議長のご健康とお仕事での成功を祈念申し上げます。
2010年5月16日
日本共産党幹部会委員長・衆議院議員
志位和夫