2010年5月16日(日)「しんぶん赤旗」

「みんなの党」渡辺代表

自民流 カネ集め

企業献金・税金…1億円(08年)

飲み食いに63回・600万円


 参院選を前に新党づくり、「第三極」を標ぼうする動きが強まっていますが、いずれも古い自民党政治の枠から抜け出せていません。「みんなの党」代表の渡辺喜美元行革担当相(衆院栃木3区)の「政治とカネ」をみてみると、自民党政治家そのものの実態が浮き上がります。(「政治とカネ」取材班)


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(写真)「みんなの党」代表の渡辺喜美氏が代表の政党支部や関連政治団体が入居する事務所=栃木県那須塩原市

 渡辺氏のおもな政治団体は、東京・永田町の議員会館に資金管理団体「温故知新の会」があり、地元・栃木県那須塩原市には「渡辺喜美後援会総連合会」、渡辺氏が支部長の「自民党栃木県第三選挙区支部」、「渡辺美智雄政治経済研究会」の3団体、宇都宮市に「渡辺美智雄政治経済研究所」などです。

たった一晩で3500万円

 2008年の政治資金収支報告書によると、各団体間のやりとりを除くと1億500万円を超す資金を集めています。(図参照)

 おもな内訳は―。

 温故知新の会、渡辺喜美後援会総連合会、渡辺美智雄政治経済研究所の3団体は同年12月、「渡辺よしみ非常時対応セミナー」という資金集めパーティーを共催、一晩で約3500万円を集めています。強引な勧誘で被害が続出している商品先物業界の政治団体「政経政策研究会」も150万円分、購入しています。

 第三選挙区支部は、企業・団体献金2461万円のほか、自民党本部から1800万円の寄付(うち1600万円は国民の税金である政党助成金)など。

 個人献金は、第三選挙区支部と温故知新の会であわせて956万円です。

 政治団体からの寄付では、不動産会社の社長が代表を務め、その会社に事務所を置く「喜世会」から1000万円の寄付を受け、150万円分のパーティー券も購入してもらっています。

赤坂の料亭やレストランで

 那須塩原市の「(株)渡辺美智雄経営センター」所有の敷地内に事務所を置く第三選挙区支部など3団体は、あわせて838万円余の「事務所費」を支出しています。同センターは、渡辺氏が社長を務める親族会社。事務所費はいずれも5万円未満の「その他の支出」として処理しており、どこに何をどう支出したかは一切不明です。

 ちなみに同支部の「政党交付金等使途報告書」によると、同支部は、1996年〜2006年の11年間で計830万円を「家賃」「敷地借り上げ料」などの名目で、同センターと、渡辺氏の母親が社長の有限会社「和三紫(わさし)」に支払っていました。

 税金である政党助成金が二つの親族会社に還流していたのです。

 温故知新の会は、家賃がタダの議員会館に事務所を置きながら約235万円の「事務所費」を計上。労務管理事務所への「顧問料・手続料」8万5500円など、5万円以上の支出は3件、約20万円のみです。

 一方、組織活動費の交際費・会議費のうち、「飲食費」は63回、計613万4082円の支出があります。銀座の高級レストランや、六本木の中国・雲南料理店、赤坂の料亭などで、飲み食いを繰り返しています。

 渡辺事務所は本紙の問い合わせに「収支報告書の通りです。きちんと報告しています」と回答しました。

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