2010年5月15日(土)「しんぶん赤旗」
「国会改革」法案提出強行
普天間・「政治とカネ」に背向け
強権国家づくりに執念
ここまできたか民主党
民主党はじめ与党3党は14日、改憲・強権国家づくりを狙った「国会改革」関連法案の国会提出を日本共産党など野党の一致した反対を押し切り強行しました。この異常な国会運営は、「政権交代」から8カ月、政府・与党がかかげる「政治主導」の正体を疑問の余地なく浮き彫りにしています。日本共産党の穀田恵二国対委員長は同日の記者会見で「国会改革」関連法案の提出を厳しく批判しました。
いま、国民が民主党政権の何に失望し、どこに政治の主導性発揮を求めているか―。世論調査では、普天間基地の「移設先」として沖縄・名護市辺野古沖に新基地を建設する政府方針について、「まったく評価しない」34%、「あまり評価しない」35%(NHK調査、10日)で、これを「公約違反」だと考えている国民も66%にのぼります(「読売」調査、10日付)。しかし、政府・与党は、野党が求める衆参予算委員会での集中審議に背を向けつづけ、鳩山由紀夫首相は説明責任を一切、果たそうとしていません。
「政治とカネ」でも、民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体による土地購入疑惑について、小沢氏が国会で説明する責任があるとしたのは80%(NHK調査)。証人喚問が待ったなしとなっているのに、小沢氏は政治倫理審査会出席でやり過ごそうとしています。政倫審は、非公開で傍聴もできないうえ、うその発言をしても証人喚問と違い、偽証罪に問われません。これまでも疑惑政治家の「弁明」「みそぎ」の場に利用されてきたもので、旧来の政治と何ら変わりません。
国民の最大の関心、期待には何ら応えない一方で血道をあげているのが、今回、法案提出に至った「国会改革」です。
「国会改革」関連法案提出者の筆頭に小沢幹事長の名前が上がっていることが示すように、法案は同氏の肝いりでつくられました。その最大の柱は、内閣法制局長官を答弁者から排除することです。
小沢氏は以前から、「国連の決定があれば、自衛隊が海外で武力行使することはなんら憲法に抵触するものではない」という特異な憲法観の持ち主。鳩山首相も「法制局長官の考え方を金科玉条にするのはおかしい」と言明しており、法制局長官の答弁に縛られず、憲法解釈を変えたいという狙いは明らかです。
政府参考人制度をなくすなど、国会審議を形がい化する中身も含まれています。国会のルールを多数が強行することは許されません。
法案提出者の一人、民主党の岡島一正衆院議員は、「政治主導の土台をつくる意味で歴史的な法案」と胸を張りました。「政治主導」とは裏腹に解釈改憲と強権国家づくりを進めようとする重大問題です。