2010年5月14日(金)「しんぶん赤旗」
沖縄の怒りを日米政府にぶつけたい
参院選挙区出馬 イジュ氏が決意表明
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6月24日公示が予想される参院選沖縄選挙区(定数1)に医師のイジュ(伊集)唯行氏(58)=沖縄医療生協理事長=が広範な県民共同の候補者として立候補することが13日決まりました。
「普天間基地の県内移設に反対し、無条件撤去・基地のない平和で豊かな沖縄をめざす県民の会」の結成をめざす呼びかけ人懇談会の世話人会が同日、那覇市内で記者会見し明らかにしました。同会から出馬要請されていたイジュ氏は同日午前に要請を受諾。記者会見に同席し「普天間基地の無条件撤去実現のために立候補します」と語りました。
鳩山内閣が普天間基地の沖縄県内移設の動きを強めるなか、同呼びかけ人懇談会は、これまで「候補者選考の基準」として、(1)普天間基地の無条件撤去、「県内移設反対」の立場を貫く(2)「県内移設」の立場に立つ政党・政権にくみしない(3)将来的には安保条約をなくし、基地のない平和な沖縄を真剣にめざす、の3点で人選を進めてきました。
呼びかけ人を代表して経過報告した世話人の大城郁夫氏は「三つの立場を貫き、日米両政府にも自公にも民主にも堂々と無条件撤去を主張できる清潔・勇気の人、県民の命と暮らしを守るたたかいの先頭に立つ信念と行動の人、を基準に検討した」と説明。イジュ氏について、「基地という日本の病巣・病魔を外科手術で取り除く最適の候補と確信している」と強調しました。
イジュ氏は質問にこたえ、「県民大会で示された県民の思いをいかに実現するかが大事。立場の違いがあっても、普天間基地の早期撤去で協力をお願いしたい」とのべました。
同懇談会は学者・文化人、法律や医療・労働・業者・婦人など県内各分野の広範な団体・個人と日本共産党など26人で構成しています。
決意表明(要旨)
イジュ氏が記者会見で語った決意表明は要旨次の通りです。
ワジワジーしています(怒っています)。この怒りを日本政府に、米軍・アメリカ政府にぶつけるために立候補します。両国政府に問いたい。いったい、沖縄はいつまで、戦争の道具、米軍基地と暮らさなければならないのか。
普天間基地、海兵隊が「抑止力」でないことを、私たちは目で耳で体で実感しています。移設条件付きの撤去論では、前に進むことができません。何十年も前の古くさい枠組み、日米安保体制はもうやめるべきでしょう。
沖縄の子育ての現状を改善したいというのが立候補の二つ目の理由です。「医療崩壊」「介護崩壊」と表現されている医療や介護、福祉の充実をはかることが三つ目の理由です。
今回の参院選は、基地のない平和で豊かな沖縄をめざす沖縄の歴史を切り開く大きな意義を持っています。県民の先頭に立って頑張り抜く決意です。
イジュ唯行氏 沖縄県中部の中城村で1951年6月21日、5人兄妹の三男として生まれました。58歳。普天間高校卒業後、国費留学生として70年、北海道大学医学部に入学しました。
79年卒業後、東京・代々木病院、沖縄協同病院、那覇民主診療所に勤務。中部協同病院開設に参加し、沖縄協同病院副院長を経て、2003年から沖縄医療生協理事長を務めます。
父親は出兵中に前妻と子を、母親は戦争で前夫と弟(鉄血勤皇隊)をそれぞれ亡くすなど戦争の悲惨さを身近に感じて育ちました。
中城中学ではバレーボール部で全島1位に。伊波洋一・宜野湾市長は普天間高校の同級生です。
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