2010年5月14日(金)「しんぶん赤旗」
参院選 民主マニフェスト
公約破って公約づくり
昨年の総選挙で掲げた公約を次々破り、国民の期待を裏切っている民主党が、その総括と反省もなく「より信頼できるマニフェスト(政権公約)を示す」(高嶋良充筆頭副幹事長)などといって夏の参院選のマニフェストづくりを加速させています。しかし検討されている中身といえば―。
消費増税を明記
「次の衆院選後には消費税をしっかりあげないと危機的状況は乗り越えられない」。細野豪志副幹事長は13日の民主党マニフェスト企画委員会後、記者団にこう語りました。
同日の企画委では、参院選公約に消費税率引き上げを含めた「税制抜本改革」を次期衆院選後に実施するとの方針を明記することを決定。5兆円にのぼる軍事費や大企業・大資産家優遇税制を「聖域」にしたまま、国民に消費税増税を押し付ける立場を明確にしたのです。
民主党はマニフェスト策定作業組織として、企画委の下に「国民生活」「成長・地域戦略」「地域主権・規制改革」の3研究会を設置。外交・安全保障分野では「外交安保作業チーム」を設け、マニフェスト原案や中間報告をそれぞれまとめました。これらの組織の議論では、後期高齢者医療制度の「廃止」先送りや、沖縄・米軍普天間基地の「県内移設」など同党の公約破りはいっさい問題にされていません。財界やアメリカの意向を随所に反映した政策が打ち出されています。
法人税引き下げ
「成長・地域戦略」研究会の原案では、法人税引き下げを明記し、「企業等の国際競争力の強化」を基本としています。さらに日本の農業を危険にさらし、壊滅的打撃を与えると批判があるEPA(経済連携協定)・FTA(自由貿易協定)について「着実に取り組む」としています。
「地域主権・規制改革」研究会の原案では、「地方の自主財源を拡大する方向で国と地方の税源配分を抜本的に見直す」と打ち出しました。例えとしてあげているのは地方消費税です。制限なくどんな規制も緩和できるように「総合特区」制度を創設することも盛り込みました。特区は自公政権が国民に痛みを押し付け、地方を疲弊させた「構造改革」を推進するために活用してきたものです。
日米同盟を重視
外交・安保分野はどうか。日米安保条約改定50周年にあたり「日米同盟をさらに深化させるための協議を進める。今後30年から50年先を見据え、日米同盟を深めていく」と明記し、日米同盟をいっそう重視する姿勢を示しました。普天間問題には触れず、「米軍再編や在日米軍基地の在り方についても、引き続き見直しの方向で臨む」などとしています。
民主党が「より信頼できるマニフェスト」といっても、国民の期待を裏切ってきたことに無反省なままでは国民は信頼もできません。(藤川良太)
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