2010年5月13日(木)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
いま、愛鳥週間の真っ最中。ヨーロッパの詩や歌によく出てくる鳥に、ナイチンゲールがいます▼やはりヨーロッパ産の小鳥で、日本では夜鳴きウグイスとか小夜啼(さよな)き鳥と訳されています。春、オスがウグイスのように美しい声で、夕方から夜ふけまで鳴くそうです。さえずりを一度聞いてみたい▼看護師さんの代名詞ナイチンゲールは、鳥のナイチンゲールと英語で同じつづりです。彼女は、どんな声の持ち主だったのでしょう。ナイチンゲールが従軍したクリミア戦争の傷病兵たちにとって、彼女は、美しい声で慰め励ましてくれる鳥のような存在だったかもしれません▼ナイチンゲールは、1820年生まれ。1910年に亡くなっています。昨日の5月12日で生誕190年、ことしは没後100年です。近代の看護法をうちたてた彼女の考え方は、いまも受け継がれています。“看護とは、患者の生命力の消耗を最小にするよう生活を整えること”“介護するのは病気でなく病人である”などです▼ナイチンゲールは、統計学にも明るかったようです。病院や貧しい人々が住む場所の衛生状態を改善するため、まず死亡率や住宅環境を統計で明らかにしようと政府に求めました。拒む官僚に対しては、ひるまずたたかった、といいます▼現代でも、国が実情を調べない場合は多い。たとえば、お金がなくて受診が遅れ、死亡にいたった人はどれくらいいるのか。調べているのは、ナイチンゲールの看護論を学び生かしている全日本民医連です。