2010年5月12日(水)「しんぶん赤旗」
首都に共産党員知事
女性として史上初
南米ウルグアイ
【メキシコ市=菅原啓】南米ウルグアイで9日、地方選が実施され、首都モンテビデオ特別県で同国史上初めて共産党員知事が誕生しました。当選したアナ・オリベラ候補(56)は、ウルグアイ共産党などが参加する国政与党「拡大戦線」から立候補。45%の得票で、野党候補に大差をつけて勝利しました。
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モンテビデオ県知事選で左派の拡大戦線が勝利するのは連続5回目、女性候補の当選は初めてです。
隣国アルゼンチンの有力紙ナシオン10日付は、共産党員で女性の知事の誕生を大きく取り上げ、「ウルグアイでの変革の時代は終わらない」と報じました。
オリベラ氏は、同国の軍政時代(1973年〜85年)にフランスに亡命し、ウルグアイ共産党に入党。民政復帰にともなって帰国し、公立学校でフランス語教師として働き、2005年に発足した拡大戦線のバスケス政権下では社会開発副大臣を務めました。
当選が確定した9日深夜、オリベラ氏は、「授業の時でも足が震えないのに、今日は体全体が震えている」と喜びを表現し、中央政権と共同して公約実現をはかる決意をのべました。
10日発表の公式開票状況によると、拡大戦線は、全国19県のうち前回確保した8県での勝利にはとどかず、モンテビデオを含め6県での勝利にとどまる見通しです。ただ6県の人口合計は、ウルグアイ全体の約7割を占めます。
今回の選挙は、地方行政改革によって市長や市議会が新たに設置された後、初めての選挙となりました。しかし国民の関心は薄く、右派政党からの攻撃も世論に影響を与えた結果、拡大戦線の票が伸び悩んだと見られています。
ウルグアイの拡大戦線 1971年2月に結成された社会党、共産党、キリスト教系政党など20以上の多様な勢力が結集する革新的な統一戦線。2004年のバスケス大統領誕生で、1825年の独立以来のコロラド党、国民党の保守二大政党による政権交代を終わらせました。上下両院でも過半数を確保。昨年の大統領選では、変革の継続を掲げたムヒカ候補が勝利しました。