2010年5月12日(水)「しんぶん赤旗」
主張
「政治とカネ」
国会での追及、民主は逃げるな
通常国会の会期末(6月16日)まで残り1カ月余りとなり、国会冒頭から焦点となってきた鳩山由紀夫首相や小沢一郎民主党幹事長の「政治とカネ」をめぐる問題の国会での究明がつくされていないことに、批判が集まっています。
政治家の疑惑を解明し、政治的道義的責任を明らかにするのは政治の責任です。国会での政治的道義的責任の追及と検察や警察の捜査は、“車の両輪”です。「司法任せ」で国会での追及を免れようとしている、鳩山政権と民主党の態度は通用しません。
司法の解明に照らしても
見過ごせないのは、鳩山首相や小沢氏の疑惑に対する国会などの解明が欠かせないだけでなく、司法の追及を通じて疑惑の奥深さが浮き彫りになり、政治的道義的責任の明確化が、いよいよ迫られていることです。
自らの資金管理団体「友愛政経懇話会」の収入の大半が本人と母親からの資金だったのに、存在しない人などの名前を使って虚偽の個人献金やパーティー券収入として届け出ていた鳩山首相の虚偽献金事件では、4月下旬、虚偽記載の罪に問われた元秘書の有罪が確定しました。判決の中で裁判所は、政治資金の公開制度や政治活動の公開性についての国民の信頼を損ない、政治不信を醸成したことも懸念されると批判しました。
不起訴となった鳩山首相について検察審査会も「不起訴相当」と議決しましたが、その政治的道義的責任は、いささかもあいまいにすることはできません。
とりわけ鳩山首相は国会で、裁判が終われば、母親などからの巨額の提供資金がいったい何に使われていたのか、帳簿も公開して説明すると約束してきました。母親などからの提供資金は、元秘書が虚偽報告で有罪判決を受けた政治資金の何倍にものぼります。鳩山氏が説明責任を果たすことは、いっそう重要です。
小沢幹事長が自らの資金管理団体「陸山会」を通じて巨額の土地取引を行っていたという事件では、政治資金規正法違反に問われた3人の元秘書への裁判が行われているほか、「嫌疑不十分」で不起訴となった小沢氏自身についても検察審査会が4月末、「起訴相当」を議決、検察の再捜査が行われることになりました。小沢氏は検察が不起訴にしたことを理由に、自らは関係がないように主張してきましたが、検察も再捜査に踏み出す以上、国民の前に説明する責任はますます重くなります。
だいたい、小沢氏にかかわる疑惑は、政治資金の収支報告を偽っただけではありません。資金の出所をめぐり、公共工事を談合で受注したゼネコンなどからの裏献金などが指摘されています。まさに税金を食い物にした疑惑であり、真相の究明と政治的道義的責任の明確化は免れません。
腐敗の根をきっぱり絶て
鳩山氏も小沢氏も自ら疑惑を解明しようとせず、民主党の山岡賢次国対委員長は国会での小沢氏の説明などを求める声に「司法の場の問題」と一蹴(いっしゅう)しています。
NHKの世論調査でも、小沢氏は国会で説明を、が80%を占めます。こうした声に応えるとともに、金権腐敗の根を絶つため、約束どおり企業・団体献金を禁止するかどうか、国会終盤を迎え民主党の態度がきびしく問われます。